ヤフー、2Q決算で広告に底打ち期待感--「Twitterとかにも興味」

別井貴志(編集部)2009年10月27日 22時10分

 ヤフーは10月27日、2010年3月期第2四半期(7〜9月)決算を発表した。前年同期比で小幅増収増益となり、広告に底打ち感も見られるとした。

 売上高は680億円と前年同期比3.0%増加した。営業利益も344億円と同4.3%伸びた。人件費やYahoo!オークションのアフィリエイト費用の増加などを、外部委託費の圧縮や設備投資の効率化に伴う減価償却費の減少などでカバーした結果、販管費率を同2.1ポイント減少させ、売上高の伸び率を上回った。

 経常利益は341億円と同4.6%増加。税金などの調整前純利益に対する法人税などの負担比率が、前年同期の43.1%から41.1%に下がったことで、純利益は200億円と前年同期比13.1%増と2桁増加した。

 事業別に見ると、広告事業の売上高は341億円と同2.9%減少した。ディスプレイ広告において、金融や人材サービスなど一部業種で大手広告主の出稿が前年同期比で大きく減少し、これが響いた。ただし、この半面で、直前四半期比で見ると、懸念していた自動車や不動産などの業種は出稿が伸びている。また8月には衆議院選挙に伴い、これまでにない各政党からの出稿もあったが、前年同期の北京オリンピックに伴う出稿にはおよばなかった。

 一方で、リスティング(成果連動)広告は前年同期比で増加した。検索連動型広告(スポンサードサーチ)が交通やレジャーなどの出稿が直前四半期比で増加したほか、インタレストマッチ(興味関心連動型広告)もアカウント数、売り上げともに前年同期比で引き続き伸張した。

 代表取締役社長の井上雅博氏は、広告事業に関して「過去、ネット広告を牽引してきた求人、不動産、金融などは比率も高かったので、広告出稿減少は大きい影響があった」と振りかえり、「対前年比で割り込んでいる業種に底を打った感があるので、ここらへんが戻ってくるのではないかと期待している。ただし下期、来年度に向けて、大きく改善すると想定はしていない。これ以上は下がらないといい」とした。

 ビジネスサービス事業の売上高は157億円と同17.3%増と2桁増加した。eコマース関連では、Yahoo!ショッピングの10周年記念セールなど販促企画が奏効して、ショッピング関連の取扱高が過去最高を記録した。Yahoo!オークションは、2008年12月に実施したストアロイヤリティ改訂が寄与して収入が伸び、扱い商品数も初めて2000万点を突破したが、景況を反映して取り引き単価は下落し続けている。

 また、3月末から連結子会社となったIDCフロンティアのデータセンター関連事業も約25億円売り上げに寄与寄与した。

 パーソナルサービス事業の売上高は184億円と同5.2%増加した。Yahoo!プレミアムの会員ID数が9月末に750万IDと過去最高になったうえ、2008年12月の会費値上げにより前年同期比で収入が大きく伸びた。また、ドコモ・モバイルオークション会員の増加など、モバイル経由のオークション取扱高が拡大した。しかし、Yahoo!オークションのシステム利用料収入は、落札単価の下落や大型連休の影響などで減少した。

 第2半期のトピックとしては、9月から「Yahoo!動画」と「GyaO」を統合し、オフィシャル映像配信サービスとして無料の「GyaO!」、有料の「GyaO!ストア」の提供を始めた。Yahoo! JAPANサイトからの誘導などにより以前に比べて再生回数が約30%増加、訪問者(ユニークブラウザ)数が約50%増加した。

 コンテンツ提供者への支払いを、これまでのような固定料金的なものではなく、収益分配型に移行させたほか、新しい形態の広告商品の提案なども始めているが、まだ収益は赤字。井上氏は「年度内に黒字を目指す話を以前したが、引き続きそれを目標にしている」とした。また、インターネットを介して映像を配信できるようになり、「映像コンテンツがどういう利用や視聴のされ方をするか、成功と失敗を繰り返して発展していくだろう。50年前のテレビと一緒で、わからなくてもしょうがない。体験を積んでよりよいものにしていくしかない」と語った。

 また、井上氏は「Twitterとか、短めのメッセージのやり取りが起こり始めているというのは、ヤフーとしても興味を持って取り組んでいこうとしている」と述べ、「特にモバイルの環境だとメッセージが短いということもあるので、折り合いがいいのではないかと思い、より前向きに取り組んでいこうかと考えている」とやる気を見せた。しかし、これをどうマネタイズさせるかという点については、「たとえば140文字という制限がある中で、もう140文字、広告を足してもいいのかという点についてはやや懐疑的」と、慎重に検討していく方針だ。

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