一般社団法人インターネットコンテンツ審査監視機構(I-ROI)は10月6日、ネットコンテンツの健全性の指標となる「iコンプライアンス」に準拠した国内初の認定コンテンツを発表した。
同団体は、ネット上の有害コンテンツから青少年を保護し、ビジネスの健全な発展を支援することを目的に2008年5月末に設立。以降、国内のネットコンテンツの健全性を認定する民間の第三者機関として、認定制度の準備を続けてきた。
I-ROIによるネットコンテンツの健全性認定は、企業のネット活動におけるコンプライアンス達成度を確認する「iコンプライアンスプログラム」と、コンテンツの健全性を確認する「セルフレイティング」によって行われる。認定を申請する企業は、まずはI-ROIが主催する研修を受講。健全性評価基準をもとに、対象コンテンツのiコンプライアンス達成度と10カテゴリにわたるチェック項目を自己評価をする、最終的には書類と実態調査によりI-ROIが健全性を審査する。
また、認定コンテンツには、I-ROIが認定証となる「安心マーク」を付与。このマークは、全年齢、12歳以上、15歳以上、18歳以上の4つの区分で、それぞれコンテンツにふさわしい対象が年齢別に示される。
今回、同団体による国内初の健全性認定サイトとして発表されたのは、バンダイナムコホールディングスの企業サイトなど、PC、携帯電話向けの合計5コンテンツ。認定式に出席したバンダイナムコホールディングスの代表者は「日ごろからどの年齢がサイトに来てもいいように考慮しているが、今回、有害情報はないかなど改めてセルフレイティングで確認した。今後は運用体制も含めて、青少年が安心して利用できるように努めていくとともに、青少年のITリテラシー向上に貢献できれば」と語った。
I-ROI代表理事で東京工科大学理事の相磯秀夫氏は、「これからは情報やメディアに関わる分野のすべての立場でコンプライアンスの(求められる)時代が到来するはず」とコメント。そんな時代に向けて、I-ROIの提唱する認定制度が注目されることを期待していると語る。
I-ROI理事で東京大学大学院教授の浜野保樹氏は「これまで出版界、映画界には、それぞれ独自の認定制度というものがあったが、動画もあり静止画もありという異なる業態が絡むネットの世界において、表現の自由を守りながら新たなルールを作るのは並大抵のことではなかった」と、今回の発表までの経緯を語る。「まずは『青少年の健全』をターゲットにして今日に至った。映画倫理委員会(映倫)など既存のコンテンツレイティングの仕組みを洗い出し、それをネットの世界にどう取り入れるかを検討した」(浜野氏)
今後については、「国がコンテンツに一斉に規制をかけるなどやり方はいろいろあるだろうが、まずは業界が問題を認識し、優れたコンテンツを出せるかということが重要。コンテンツの自主規制という点において、国際的な基準としてもリーダーとして役割を果たしていければ」と、抱負を語った。
バンダイナムコホールディングスのほかに、I-ROIによる健全性コンテンツの認定を受けたのは、PCサイトではコーエーの「GAME CITY」、フォーラムエンジニアリングの企業サイト、モバイルサイトではインデックスの「iアニメデコメとり放題」、日本エンタープライズの「デコデコ★ウィジェット」(2サイトはモバイルでのみアクセス可能)。いずれのコンテンツも、全年齢を対象とした健全性認定を受けている。
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