Googleが「Google Book Search」をめぐる訴訟で書籍の著作権保有者と和解したことに対し、新たな反対の声が上がっている。和解の当事者たちは「強引に和解案を押し通そうとしており、多くの著作権者は事態をまったく把握できなくなってしまうはずだ」というのが、その主張だ。
Googleの壮大な書籍デジタル化プロジェクトを非難する者は多いが、The New York Timesによると、Scott Gant氏も和解に反対して近々その仲間入りをするらしい。法律事務所のBoies Schiller & Flexnerに勤める弁護士のGant氏は、すべての著作者をひとまとめに扱うために集団訴訟という訴訟形態が利用されていることを懸念する著作者の1人として、独自に行動しようとしていると語る。
2005年、出版社と著作者を代表する複数の団体が書籍デジタル化プロジェクトをめぐってGoogleに対し訴訟を起こし、訴訟は集団訴訟と認められた。つまり、Googleとこれらの団体が2008年に和解した際、絶版になったが著作権法でまだ保護されている書籍の著作権を保有する出版社と著作者は、書籍デジタル化プロジェクトに参加したくない場合には、和解案から離脱する意向を表明する必要があった。その期限は2009年9月に迫っている。
The New York Timesによると、Gant氏は、これが「集団訴訟手続きの乱用」にあたるとする弁論趣意書を裁判所に提出する予定だという。The New York Timesはさらに、一部の法学者の見解として、これは本件の和解に対する新手の異議だと指摘している。これまでの反対意見の多くは和解によって、著作権で保護されているが絶版になった書籍をスキャンすることが法的に認められる組織が、米国内ではGoogleだけになるという事実に着目していた。
集団訴訟であるということは、Googleが、いわゆる「権利の所在が不明な著作物」(Orphan Works)の著作権保有者と個別に交渉する必要がないことを意味する。個別交渉には大変な手間がかかるが、Googleと和解当事者が著作者の権利を守ることに本当に関心があれば、行われていたはずだったとGant氏は主張する。和解案の一環として、Googleは、考えられるすべての著作権保有者に対し、和解案と同案に基づく選択肢についての情報を提供するため、可能な限り多くの措置をとっていることを示すよう求められていたが、Gant氏は趣意書の中で、ライセンス契約は集団訴訟を通じて結ばれるべきではないと主張する意向だ。
GoogleはThe New York Timesに対する説明の中で、和解に至った形式に関係なく、著作権保有者は自らの命運を自由に決められる立場にあり、Googleが自分の作品をスキャンするのを禁じたければ、和解案から離脱する道を選べると語っている。この件の最終審理は10月に予定されている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事をシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。原文へ
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