そのうち多くの時間が、ウェーブにユーザーを追加する、ウェーブに返信する、写真を追加する、ルールを作成するといったWaveのワークフローを設計するためだけに費やされてきた。Waveの基本インフラストラクチャの一部は「Gmail」と同じものだが、Waveのプロジェクトは本質的にGmailとは完全に別のものであり、Googleにとって重要なプロジェクトに大きな自律性を認めるという点で、「組織を挙げた実験」という面が多少ある、とLars Rasmussen氏は述べている。
では、それほど未達成のことが多いにもかかわらず、なぜこの時点で公開するのだろうか。Rasmussen兄弟は、Waveを「ベイパーウェア」と呼ぶ声を多く耳にしており、同兄弟のGoogleでのキャリアの始まりとなった「Google Maps」とは正反対の立ち上げ戦略を選ぶことにしたのだ。Google Mapsは、完成するまで発表されなかった。
WaveがGoogle Mapsと違うのは、開発者からのフィードバックがWaveの製品としての進化のために極めて重要だとGoogleが考えている点だ。「Waveをどのように使うか、人々がこれを使ってどのようなことをするかを考えてもらいたいと思った」(Lars Rasmussen氏)
しかし現時点では、Waveは慎重に「開発者向けプレビュー版」と銘打たれており、Googleのほとんどのプロジェクトと同じベータ版の段階にさえ達していない。Googleでは、どんなプロジェクトをプレビュー版とし、それに対して何をベータ版あるいは正式版とするかを決める正式なプロセスはまだ整備されていないが、Waveの目標は、クラッシュの数をセッションの開始数全体の1%未満にまで減らすことであり、その時点になればもっと自信を持って「ベータ版」と銘打つことができるだろう。
Googleは5月にWaveを発表した際に、2009年中に同サービスを一般向けに開放したいという考えを示した。7月後半にWaveを見た限りでは、それは実現しそうにないと思われるが、Waveほど大きな話題になった製品を、現時点で存在するのに近い数のバグがある状態でリリースすれば、大失敗となるだろう。
Lars Rasmussen氏はこのことを承知している。「Googleでは気楽に仕事をすることもできるし、すぐに給料が払えなくなるということもないだろうが、われわれは厳しい緊張感を持って取り組むようにしている」(Lars Rasmussen氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事をシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。原文へ
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