ソニーは7月30日、2009年度第1四半期決算(4〜6月期)の連結決算(米国会計基準)を発表し、世界的な景気後退や円高などが響いて売上高は減少し、利益も赤字に転落したが、
この四半期の売上高は1兆5999億円(前年同期比19.2%減)だった。営業利益は、営業損益は257億円の損失(前年同期734億円の黒字)と、赤字に転落した。売り上げが減少したことに加えて、
また、税引き前利益や純利益も赤字に転落した(右画像参照)。
事業別の業績は、2009年4月1日の機構改革によって、今回の決算から事業のセグメント区分が変更されている(下画像参照)。これまでのエレクトロニクス分野とゲーム分野に含まれていた事業を再構成し、コンスーマープロダクツ&デバイス(CPD)分野、ネットワークプロダクツ&サービス(NPS)分野、B2B&ディスク製造分野を新設した。
テレビ事業やデジタルイメージング事業、オーディオ・ビデオ事業、半導体事業などを含むCPD分野の売上高は、価格競争の激化もあって7743億円(前年同期比27.3%減)と大幅に減少した。液晶テレビ「BRAVIA」やデジタルカメラ「サイバーショット」、ビデオカメラ「ハンディカム」がいずれも減収。販売台数は、液晶テレビが320万台(前年同期310万台)、ビデオカメラが140万台(同180万台)、コンパクトデジタルカメラが500万台(同610万台)だった。
CPD分野の営業利益は20億円の損失(前年同期361億円の黒字)と大きく落ち込んだ。販管費の圧縮や売上原価率の改善も減収や円高の影響をカバーできなかった。この中で、コスト削減により「BRAVIA」の損益は改善している。
ゲームやPC、デジタルミュージックプレーヤーなどを含むNPS分野の売上高は、ゲーム事業とPC「VAIO」が不調で2468億円(前年同期比37.4%減)と大きく落ち込んだ。販売台数は、PLAYSTATION 3(PS3)が110万台(前年同期160万台)、PSPが130万台(同370万台)だった。また、VAIOの販売台数は110万台(同120万台)。営業利益も減収のほか、単価下落などの影響を受けて397億円の損失(前年同期46億円の黒字)と赤字になった。
このほかの分野別では、相対的に金融が好調だった。この分野には、ソニーフィナンシャルホールディングス、ソニー生命保険、ソニー損害保険、ソニー銀行などが含まれる。金融の売上高は2276億円(前年同期比24.3%増)と2桁の増収だった。日本の株式市場の上昇による運用益や保有契約高の堅調な伸びや保険料収入の増加により、ソニー生命の売上高が2005億円(同29.2%増)と伸びたことが寄与した。これに伴い、金融分野の営業利益も475億円(同72.1%増)と大幅に伸びた。
2009年度の通期業績予想は、売上高が7兆3000億円、営業損失1100億円、税引前損失1400億円、純損失1200億円と、5月14日に発表した数値から変更はしない。構造改革効果によるコスト削減は予想以上に推移しており、CPD分野の業績も想定したほどは悪くなかったが、「事業環境が引き続き多くの面で不透明であることを考慮して」(大根田氏)、上方修正などはしない。
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