世間では夏のセールも終盤に差し掛かり、街を歩けば各ショップも最終セールを展開している。もちろんネット上のECサイトも例外ではない。
不況、モノが売れないと言われる状況下において、セール期間というのはユーザーの購買プロセスにどのような変化を与えるのだろうか。
今回は東京都内で働く20代後半から30代前半の女性5名を対象に、通常のサイトとセール中のサイトで購買プロセスがどのように変化するのかを、アパレルECサイト「ZOZOTOWN」で検証した。
はじめに被験者には通常のサイトで好きなようにサイト内を閲覧してもらい、気に入った商品があればカートに入れてもらった。その後、セール中のサイト内で同様のタスクを行ってもらい、購買プロセスの変化を比較した。
ZOZOTOWNのトップページにはブランド別、発売日、タイプ別(MEN、WOMENなど)、カテゴリ別(シャツ、カットソーなど)など、複数の絞り込みの軸が用意されている(図1左)。被験者の多くがブランド別のエリアから各々の好きなブランドを選択し、下層ページに遷移した。
セール中のトップページでは絞り込みの軸に加えて、割引率による絞り込みの軸が追加されていたにも関わらず、好きなブランドから絞り込む被験者が多く見受けられた(図1右)。
つまり、通常時、セール中に関わらず、好きなブランドから商品を絞り込もうとするプロセスは変わらないという結果になった。ただ、通常時のサイトではブランド名をリスト化しており、セール時もサイトの中央にブランドロゴの一覧を配置するなど、ブランドから絞り込むことを前提とした画面設計になっていたことが影響した可能性はある。
テスト終了後、セール中のサイトでは割引率で商品を絞り込むこともできるということを被験者に伝えたところ、5人中4人が「気付かなかった」、1人が「興味のないブランドの商品まで出てきそうだったから割引率で絞り込みたくなかった」と答えた。実際に多くのブランドが軒を連ねる百貨店に足を運んでも、聞いたことのないブランドのセール品を物色することはないという。
商品一覧画面に遷移した被験者の多くは、カテゴリや色などで絞り込みながら目当ての商品を探していた。視線も商品画像を中心に動いているものの、興味のない商品は素通りしている(図2左)。
セール中の商品一覧画面は価格表記のフォントが太字で赤く強調されているが、被験者の視線が価格表記に留まっていないことがわかる(図2右)。
テスト終了後、被験者に「セール中の商品一覧画面で価格表記が変わったことに気付いたか」と尋ねたところ、被験者全員から、価格表記、割引率に「気付かなかった」、「セール価格自体を気にしていなかった」と回答が寄せられた。中には「ブランドの相場感やセールの割引率がわかれば価格はある程度予測できる」という意見もあった。価格の安さで商品に関心を持つのではなく、まずは商品ありきで絞り込んでいるようだ。
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