システム開発大手の日立情報システムズの業績が、今期に入っても順調な拡大をみせている。これに伴って株価も下値を切り上げる上昇基調で推移し、足元も初来高値圏での推移となっている。今後の収益見通しと株価動向を探った。
日立情報システムズが4月27日に発表した2010年3月期の連結業績は、売上高1850億円(前期比3.6%減)、営業利益110億円(同5.2%減)、経常利益110億円(同6.8%減)、純利益64億9000万円(同14.6%増)と見込んでいるが、今期の第1四半期(2009年4〜6月)を終了した時点で、早くも業績上方修正の可能性が高まってきた。
今期は日立プラントエンジニアリングからの情報システムソリューション事業譲受(2009年1月1日付)がプラスに寄与する半面、前期にあった後期高齢者制度対応のソフト開発特需の反動減に加えて、全般景気悪化によるシステム投資の抑制に伴い、売上減少は避けられない状態にある。
同社は事業戦略として、システム構築では、市場の動向やニーズに応えるマーケットインの考え方に基づき、一定のシェアを確保できるパッケージ製品の選択と集中を進めている。システム運用では、クラウドコンピューティング環境への対応を視野に(1)データセンター、(2)ネットワーク、(3)セキュリティを統合したITインフラサービスの実現に向け、センタ仮想統合や、仮想化技術への積極投資を実施する方針だ。この結果、サーバ統合・仮想化の受注が期初予想に比べて上ブレする可能性が高まっている。
今期の第1四半期(2009年4〜6月)の連結決算は、7月28日に発表される予定だが、9月中間期の予想利益水準(営業利益47億5000万円)に比べて、高い進ちょく率を示すことになりそうだ。
同社は、仮想化環境で稼働するシステムの効果的・効率的な運用を支援する「仮想化システム運用支援サービス」を、6月25日から開始した。仮想化技術を活用したサーバの統合により、サーバ台数の削減を図る企業・団体が増加している。しかし、仮想サーバと物理サーバが混在するシステム環境では、障害発生箇所の特定や、物理リソース全体の使用率管理など独自の運用ノウハウが求められている。そのため、仮想サーバを導入した企業等では、仮想化システム全体の性能を高める運用管理の実現という課題を抱えている。
こうした背景から日立情報では、自社の基幹システムをはじめとする仮想化システムの豊富な運用実績を活かし、障害の検知やシステム全体のパフォーマンスを最適化する仮想化システム運用支援サービスを提供する。これにより、既に提供中のサーバ統合などの仮想化システム構築サービスと合せて、システムの構築から運用までをトータルにサポートする。日立情報ではこのサービスを、仮想化システムの運用に悩む企業・団体へ拡販し、2011年度までに160社、累計で7億円の売上を目指している。
同社の株価は、4月21日に1463円で安値を付けて以降、3カ月間順調に下値を切り上げる展開で上昇を続け、週明け7月21日には新値追いで2200円の高値を付けている。しかし、時価水準で試算した連結PERは14倍台と割安感がある。中期的には2600円台での活躍が期待できそうだ。
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