日本オラクルが6月30日に、2009年5月期の決算(非連結)を発表して以降、株価が堅調な推移をみせている。深刻な不況下にあっても、前期の2009年5月期の営業利益が小幅ながら前々期比0.4%増の388億円となったのに続いて、今期の2010年5月期も前期比2.9%増の400億円と連続増益を見込んでいることが、投資家に買い安心感を与えたようだ。同社の今後の業績見通しと株価動向を探った。
6月30日に発表された前5月期の決算は、売上高1157億円(前々期比1.5%増)、営業利益388億円(同0.4%増)、純利益227億円(同1.4%減)となった。事業部門別では、ソフトウェア関連の売上高が990億円(前々期比1.7%増)となった。これは、アップデート&プロダクトサポート事業の売上高が585億円(前々期比16.5%増)と大幅に拡大したことが寄与した。
この部門は、製品を利用している顧客に対して、更新権や技術サポートシステムの提供を行っている部門で、厳しい経済環境で新規投資が抑制される中、既存の業務システムの運用を適正かつ安定的に継続したいという顧客ニーズを確実に取り込んだことが功を奏した。ただ、データベース管理ソフトおよびミドルウェアの新規ライセンス販売を主力とするデータベース&ミドルウェアの売上高は347億円(前々期比14.7%減)と大幅な減収となった。
さらに、2010年5月期の業績については、売上高1190(前期比2.8%増)、営業利益400億円(同2.9%増)、純利益232億円(同2.0%増)と小幅ながら増収増益を見込んでいる。今期について、同社では営業面でハードウェアの供給や導入支援を行うパートナー企業と協力して積極的に提案していく。また、製品面では業界標準技術で様々な情報システムを連携・統合させる基盤を構築するフュージョン・ミドルウェアや、顧客の業務変革を支援するビジネス・アプリケーションの販売体制を強化していく。
さらに、中期的にはクラウドコンピューティング市場の拡大に対応して、その中で同社は中核をなす役割を果たす可能性が高い。これまで、個別の市場を形成してきたOS、データベース、ミドルウェア、サーバ、ストレージ、ルータなどは、これらを複合したユニファイド・コンピューティング機器とてして進化を遂げようとしている。また、米国オラクルによるサン・マイクロシステムズ買収に伴い、将来的には品揃えが一段と強化されることになりそうだ。
同社の株価は2009年2月26日に年初来安値の2995円を付けて以降、短期間に急騰を演じ、1カ月後の3月27日には年初来高値の4020円を付けた。その後はジリ安傾向の調整場面となり、6月8日には3300円まで下落。しかし、その直後から株価は上向き、26週移動平均線を13週移動平均線が下から上に抜ける週足のゴールデンクロスを達成。株価の先高感が強まってきた。
6月は中段もちあいが続いていたが30日の決算発表をキッカケに再び上昇局面を迎え、先週末の7月3日終値は3720円となっている。PERは20倍水準と割高感はない。また、6月26日申込現在の東証信用倍率は0.9倍と売り長で、信用取引面での妙味もある。今後、中期的には株価4000円台での活躍が十分期待できそうだ。
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