オープンソースの動画コーデック「Theora」、HTML 5での仕様策定が挫折

文:David Meyer(ZDNet.co.uk) 翻訳校正:湯本牧子、高森郁哉2009年07月06日 12時48分
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 急速に発展しているウェブコーディング標準「HTML 5」を管理するGoogleの従業員は、HTML 5で「Ogg Theora」を動画コーデックとして策定しないことが決まったと発表した。

 Ian Hickson氏は米国時間6月29日、Appleの反対により仕方なくオープン標準のOgg Theoraを外したと書くとともに、競合するH.264コーデックについても、他のブラウザベンダーの反対により仕様に含めない可能性があることを明らかにした。これはつまり、HTML 5がウェブ開発のための動画コーデックを1つも策定しないことを意味する。

 HTML 5の重要な機能の1つは、

 だがHickson氏は、HTML 5の開発作業を進めている企業連合Web Hypertext Application Technology Working Group(WHATWG)のウェブサイト上に、「すべてのベンダーが進んで実装や公開を受け入れる適当なコーデックはない」と書いた。

 「したがってHTML 5の仕様では、コーデックが必要になっていたであろう2つの小区分を削除し、この問題を未定義のまま残した。過去に、IMGタグや画像形式、タグ、プラグインAPI、ウェブフォントおよびフォント形式といった他の機能を取り扱ってきたやり方と同じだ」(Hickson氏)

 Hickson氏によれば、Appleは「ハードウェアサポートの欠如と不明瞭な特許環境」を理由に、「QuickTime」ビデオにOgg Theoraを実装しないという。ただし同氏は、Ogg Theoraの評価において状況を単純化し過ぎていたかもしれないと認めた。ZDNet UKはこの件についてAppleに確認と説明を求めたが、記事執筆時点で回答は得られなかった。

 Googleは、「Google Chrome」でH.264とOgg Theoraの両方を実装している。だが同社は、H.264コーデックのライセンスをChromeのLinux版である「Chromium」のサードパーティのディスリビューターに提供できないほか、Ogg Theoraの1ビット当たりの品質がまだYouTubeの処理量に対応できるほどではないと考えている、とHickson氏は説明した。

 Mozilla(6月30日にリリースした「Firefox 3.5」でOgg Theoraを実装した)とOperaは、特許やライセンシングの問題によりH.264を実装する予定がなく、一方Microsoftは「

 Hickson氏は、2つの将来のシナリオを示した。1つは、特許に関するAppleの懸念が和らぐほどOgg Theoraのサポートと使用が拡大する場合で、このケースではTheoraはウェブ用動画コーデックの事実上の標準となる。もう1つは、関連するH.264の特許が失効し、標準が自由に利用できるようになる状況で、この場合はH.264が事実上の標準となる。

 「音声コーデックの状況も似たようなものだが、動画コーデックより多くの形式が存在するので、重要性はより低い。音声のプロファイルは動画のプロファイルよりはるかに低いため、特定のコーデックを求めるのではなく、音声機能を観察したうえで共通のコーデックが浮上するのかどうかを見守る方がいいと考えている。将来、共通のコーデックが現れた時に、この件を議題として再び取り上げるつもりだ」(Hickson氏)

 Hickson氏はウェブサイトの中で、HTML 5における動画コーデックの状況は「信じがたいほど遺憾」であり、「仕様の策定としてはひどい状況だ」と書いた。「こうした泥沼のこう着状態ではなく、良い解決法が得られたらと願っている」

この記事は海外CBS Interactive発の記事をシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。原文へ

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