ゆるキャラなどの地域発コンテンツ、歴史をテーマにした映像作品、地方のスタジオが生み出すコンテンツなどのように、いまコンテンツのさまざまな領域で「地域」に注目が集まっています。
キャラクターに関する専門調査会社であるキャラクターデータバンクが企業を対象に実施した市場動向調査によれば「今後、伸長すると思うジャンル」(キャラの出身媒体)の1位に「地域発キャラクター」が踊り出ました。
このように、地域が話題化した背景には何があるのでしょうか。この疑問に答えるために、先日開催された東京国際アニメフェア2009で「アニメにおけるロケツーリズムの可能性〜『らき☆すた』の聖地巡礼と観光資源」と題したシンポジウムが開催されました。私もシンポジウム全体の構成とパネルディスカッションの司会を務めています。
私はこのような現象の背景には、ユーザーのメディアリテラシー向上による、積極的な情報発信、情報交換の姿勢があると考えています。キャラや「聖地巡礼」というと、ニッチなオタク的現象だと思われがちですが、事例を見ればわかるように、かなり幅広い層に受け入れられており、他の領域にも応用可能であることが推測できるのではないでしょうか。
それでは、地域とコンテンツの連携における新しい試みについて考えていきましょう。
地域では、少子化に伴う人口減少や製造業の海外生産へのシフトなどといった厳しい状況の下、社会に活力をもたらし、魅力を高めるための方法論が求められています。
元来、地域には豊かな自然や文化遺産など、潜在的に他の地域からの集客の誘因となりうる「コンテンツ」が眠っているわけですし、豊かな自然環境はコンテンツの舞台や制作環境としても優れているでしょう。これらのメリットを効果的に利用するための方策があれば、地域活性化に大きく寄与するのではないでしょうか。
また、コンテンツ事業者の側でも、マスメディアからソーシャルメディアと呼ばれるような、個別性の高いメディアへの移行が進むなかで、いかにしてユーザーにコンテンツを届けるか、そして、そこからムーブメントへと盛り上げるか、さまざまな方法論が模索されている段階だと思います。このような環境の下、地域を軸としたメディア展開(地域のメディア化)に期待が高まっています。
冒頭でご説明したように、ゆるキャラブームに乗って、オリジナルキャラを用いて地域活性化を図ろうとする試みが2008年初頭から拡大してきました。さまざまなメディアによって取り上げられるパブリシティ効果に加え、ライセンスを受けた地場産品が地域を訪れた観光客に購入されるなど、実体経済にまで効果が波及しているようです。
これは一種の「地域のメディア化」と呼べるのではないでしょうか。日本国中でさまざまな試みが展開されているところですが、ここでは、シンポジウムで取り上げた事例について、順に説明していきます。
これ以外にも、ゆるキャラの代表格ともいえる滋賀県彦根市の「国宝・彦根城築城400年祭」マスコットキャラクターである「ひこにゃん」や、地域戦隊ヒーローものの代表格である「超神ネイガー」も有名ですね。
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