「Microsoft Vine」は、一風変わったソーシャルサービスの実験のように思える。Vineは、緊急時に必要な情報を人々に伝えられるようにするためのサービスだ。筆者はこの製品を試してみて、とてもMicrosoftらしくないことに気づいた。1人で使うアプリケーションとしては役に立たず、その機能もかなり独特だ。Microsoft製ということから、さまざまなプラットフォームに対応した、オープンな生産性ツールだと予想していたが、Vineはそのどちらでもなかった。
いや、やはりそうなのだろうか。Microsoftに筆者の疑問を投げかけてみた結果として、たどり着いた人物の肩書きを見れば、Vineには当初明らかにされたことよりもさらに先があることは明白だった。最終的に筆者が話を聞いたTammy Savage氏は、Microsoftの公共安全イニシアティブ担当ゼネラルマネージャーだった。
基本的に、Vineは、異なるシステム間で通信をやり取りできる、Microsoftの新しいプラットフォームがベースになっている。このプラットフォームは、ある人にメッセージを届けるのに複数の方法があることを把握し、メッセージが届けられるまでさまざまな方法を試す仕組みになっている。
たとえば、緊急メッセージには、電子メールやテキストメッセージとしてユーザーに送信されるものもある。あるいは通常の電話で通知され、必要に応じてテキストが音声に変換される場合もある。また、1つの通信方法が使えなくなると(大災害で電話が通じなくなった場合など)、このプラットフォームは他のルートにメッセージを流し、そのメッセージを必要としている人たち全員にメッセージが届くようにする。
メッセージを送る相手はルールによって決められる。たとえば、地震の後に保護者が子供に直接連絡を取れなくなった場合、安否を問い合せるメッセージの受信者のうち誰か1人からでも、子供の無事を伝える返信がくれば、ルールは満たされる。一方、グラウンドがぬかるんでいるために子供のサッカーの試合が中止になったことを伝えるメッセージは、すべての保護者に届けられるまでシステム内をかけめぐることになる。
いざ必要となったときにユーザーがVineの存在を忘れているようなことにならないよう、常にユーザーが目にする状態にしておくために、Vineでは、ローカルニュースも追跡できるし、旅行中の「チェックイン」にも利用できるなど、緊急事態のまっただ中でなくても使えるようになっている(Vineについての詳細はこちらを参照)。
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