楽天1Q決算、主力ネットサービス好調で増収--薬事法改正については「相当なバトルになる」

岩本有平(編集部)2009年05月12日 22時02分

 楽天は5月12月、2009年度第1四半期(1〜3月)の決算を発表した。売上高は663億6400万円(前年同期比11.5%増)、営業利益は98億2500万円(同26.2%増)、経常利益は91億2000万円(同30.4%増)、四半期純利益は252億1800万円(同1335.0%増)となった。

 東京放送ホールディングス(TBSホールディングス。旧:東京放送)株の買取請求権の行使にともない、投資有価証券評価損についての繰り延べ税金資産を計上したことなどにより、法人税等調整額が発生。純利益を大きく押し上げた。なお、TBSホールディングス株の買い取りに関しては同社との価格交渉が不調となり、東京地裁へ調停を申し立てしているが、これについては「全てが解決してからコメントしたい」(三木谷氏)としている。

 主力事業である楽天市場は売上高172億3300万円(前年同期比24.1%増)、営業利益88億6500万円(同54.2%増)、ユニーク購入者数は717万人(同20.5%増)と増加したが、1人あたりの購入総額は前年同期比8.65%減の2万4637円となった。この理由について楽天代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏は、PCをはじめとした家電の急激な価格下落や、不況による高級商品の売上減少と説明。その上で、この不況下で好調な売り上げを実現している点について「楽天市場の柔軟な体質かと思っている」(三木谷氏)とした。

 また不況で高まる節約・エコ志向を背景に、今期から新たに中古市場や中古買取といったサービスも開始している。同事業を中心としたECのほか、トラベルやポータル・メディア事業といった他のネットサービスも好調で、3事業を合計した売上高は346億7000万円(同21.9%増)となっている。

 楽天では2月にイーバンク銀行を子会社化しており、楽天クレジットとの事業統合を行っている。三木谷氏は決算説明会の席で「フルライセンスの銀行を我々の子会社にできたのはいろいろな意味があると思っている」と語り、クレジットカードや決済サービスと、ECやトラベル事業との親和性の高さや、低いコストで顧客を獲得できる点などに期待を寄せた。さらに金融庁から行政処分を受けた楽天証券については、社外の有識者を含めたシステム安定化推進委員会とシステム安定化推進部を設置。障害復旧体制やシステムの安定運用体制を整備中だとした。

 決算説明会ではまた、三木谷氏も出席する「医薬品新販売制度の円滑施行に関する検討会」で検討された改正薬事法に関する質問も記者から挙がった。

 三木谷氏は、同法の改正による収益的な影響について「ほとんどない」とした上で「一言で言えば『終わってる』。対面販売でなければ安全を確保できないという科学的根拠はない。また法律であれば甘んじて準じるが、これを省令でやるのは違法が高い。これからいろいろなアクションを取るので、相当なバトルになると思う」と語気を強めた。

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