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パイオニアの株価は既に5倍の急騰--公的資金注入へ

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 経営再建中のパイオニアは、4月30日にも創設予定の公的資金を使った一般事業会社への資本注入制度を活用し、約300億円程度の支援を受ける方向で検討に入っていることが明らかになった。

 同社の株価は、3月10日に上場来安値の82円まで売り込まれたものの、先週末4月24日には一時、415円まで買い進まれるなど、わずか1カ月半の間に5倍という記録的急騰をみせたことになる。同社の今後の業績と株価動向を探った。

 パイオニアはオーディオメーカーから出発し、ホームエレクトロニクスとカーエレクトロニクスを主力事業とし「世界初」となる製品を相次いで投入するなど、商品開発力には定評があった。特に1980年代には、当時画期的な映像媒体だったレーザーディスク事業で盟主といわれた。また、テレビでは優れた技術力を背景にPDP(プラズマ・ディスプレイ・パネル)の有力メーカーとしてOEM供給なども積極的に展開した。

 しかし、その後業績が悪化し、2005年3月期から連続で連結最終赤字を計上している。2007年には、シャープと資本・業務提携を結び、現在シャープが発行株式総数の14%保有の筆頭株主となっている。

 パイオニアの2009年3月期は連結最終損益で1300億円と過去最大の赤字に陥る見通しで、赤字計上に伴い不採算のテレビ事業から撤退、国内外で従業員約1万人を削減する方針を明らかにしている。テレビ事業と並ぶ不採算部門だったDVD機器事業も筆頭株主のシャープと共同出資して設立する新会社に移行し、パイオニア本体はカーナビゲーションなど車載用機器を主力とする態勢に移行するが、財務内容悪化で資金繰りが困難になる局面が続いていた。財務体質の改善が急務となっており、新制度活用による資本増強で生き残りを図る構えだ。

 公的資金を使った政府の支援策を盛り込んだ産業活力再生法(産活法)は4月22日の参院本会議で可決・成立の見通し、4月30日にも対象となる企業の条件が示され、改正産業活力再生法が施行される。条件は、

  1. 2008年10月から2009年9月までで4半期の売上高が前年同期比20%以上減少、もしくは半期で15%以上減少。さらに、金融機関の財務制限条項に抵触し新規借り入れが難しくなるか、自己資本が同25%以上減少
  2. 国内従業員が5000人以上か、そうした企業に代替困難な基幹部品を30%以上供給している
  3. 民間金融機関が出資や融資を協調的に実施する
  4. 3年間で企業価値を向上させる事業計画を立てる

――などの内容となりそうだ。

 さらに、ホンダはパイオニアに資本参加する方向で最終調整に入ったとの観測が浮上している。パイオニアはホンダの支援も受け、今後はカーナビゲーションシステムなどの車載用機器に経営資源を集中して再建を目指す。

 パイオニアのほかにも、既に半導体メーカーのエルピーダメモリが500億円規模の出資を政府に申請する見通しとなっている上に、株式市場関係者の間では、経営不振が伝えられていたOKI、クラリオン、そして東芝や日立製作所まで公的資金注入の可能性が取りざたされた。

 株式市場では、金融機関以外の事業会社への資本注入は、景気の底割れを防ぐセーフティーネットの整備として好感されている。条件の中には「3年以内の業績回復」が盛り込まれる見通しで、これが業界再編の呼び水となるとの見方もある。

 パイオニアの株価は、3月10日に上場来安値の82円を付けて以降急上昇をみせている。特に、4月に入ってからの株価急騰が目立つ(3月31日の終値125円)。これについて市場関係者は「パイオニアについては、昨年度末にかけて水面下ではかなり深刻な経営不安説が取りざたされていた。年度末を越えたことで、目先的にある程度安心感が広がったことに加え、公的資金注入観測が表面化してきたことで一気に経営再建への期待感が高まったようだ」としている。

 また、信用取引の残高が東証信用倍率で、売り残高が買い残高を大きく上回る売り超過の状態(信用の売り残高は、原則的に信用期日の半年以内の買い戻し要因となる)が続いていただけに、売り方の買い戻しが株価上昇を加速した面もあったようだ。ただ、短期間に5倍という株価上昇をみせた直後だけに、公的資金注入が正式に決まることをきっかけに、“好材料出尽くし”との受け止めかたから波乱展開となることが予想される。

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