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米ベンチャーキャピタルは現在、ネットメディアビジネスをどう見ているのか

志村一隆(情報通信総合研究所)2009年04月03日 17時18分
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 米国の大手メディアは2008年10月〜12月期で大幅赤字決算を出しながらも、インターネットへの投資を増やしている。たとえばNBC Universal CEOのJeff Zucker氏はニューヨークで3月18日から19日まで開催されたメディア業界のカンファレンス「Media Summit New York」において「我々はテレビのオールドビジネスモデルにとどまるつもりはない。デジタルビジネスからの収益は増加している」と話していた。

 世界的な金融不況の中、メディア系のベンチャーキャピタルはどういった投資分野に注目しているのか。また、インターネットのメディアビジネスの将来をどう見ているのだろうか。Media Summit New Yorkで各社のベンチャーキャピタリストが議論した。

動画配信とデジタルパブリッシングに注目

Media Summit New York

 インターネットのメディアビジネスはまだまだ成長性があると感じている投資家は多いようだ。J.P. Morganの Managing Directorである Imran Khan氏は、「米国のインターネットメディアの接触時間はメディア全体の30%弱だが、インターネット広告は広告市場全体の8%に過ぎない。景気回復がいつになるかは誰もわからないが、インターネット上のコマース、広告、コンテンツ消費が増加するトレンドがあることは確かだ」と語る。Khan氏はまた、「1980年代にビデオやケーブルテレビが普及し、新たな消費行動が出現した時より、現在インターネット上で起きているコンテンツ消費のデジタル移行ピードのほうが早い」と急速なビジネス環境の変化が起きているとした。

 メディアグループのClear ChannelやUnivisionなどへ投資しているThomas H. Lee PartnersのManaging Director、Richard J. Bressler氏も「モバイル、PCで動画を視聴できる環境が整い、動画視聴時間などの数値が増加していることを考えると映像コンテンツへの需要は根強いと思われる」と、インターネット動画メディアへの期待感を述べた。

 投資会社Velocity Investment Groupの共同創業者であるJonathan Miller氏は、「現在注目している投資分野は、オンライン動画配信、デジタルパブリッシングの2つだ。昨年は例年より多い13社に投資している」と自社の投資状況を語った。投資意欲は落ちていないとのことだが、「現在は、投資先のプライシング(値付け)判断が非常に困難だ。M&Aにおける企業の売り手も買い手も、景気は今後、より悪くなると見ている。売り手も買い手双方とも意思決定をしづらい状態だ」(Miller氏)という問題があるとした。

手元流動性の確保を重視する

 現在の景気状況はベンチャーキャピタルにどのような影響を与えるのか。Bressler氏は、「現在は、キャッシュが手元にあれば、企業を適正な価格で買収できるチャンスだ。昨年、当社がClear Channelを買収できたのも、以前IPOさせた投資先のキャッシュがあったからだ。」と、キャッシュの重要性を指摘した。

 Miller氏は「投資ファンドは、この不況下で、資金の流動性を重視している。キャッシュを生まない企業からは資金を引き揚げることも考えられる」と語る。

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