むしろ「土管」になりたい--モバイルWiMAXが変えるブロードバンドの世界 - (page 3)

永井美智子(編集部) 日高彰2009年04月02日 14時28分

――第3.9世代携帯電話(LTE)と比べた場合、モバイルWiMAXはどのような点で優位と言えるのでしょうか。

 米国でSprint NextelがWiMAXをやる(編集部注:現在はClearwireの事業)タイミングで、VerizonがLTEを採用するという方針を打ち出したので、「WiMAX対LTE」という構図ができてしまった感があります。しかし、そもそも携帯電話の事業者がLTEを採用するのは、トラフィックが増えて帯域がいっぱいになってしまい、より周波数利用効率が良いシステムが必要になったからです。我々は、外出先でもフルインターネットが使えるというサービスがまだ実現していないから、それに必要な技術としてWiMAXを使っている。そもそも用途が違います。

 ですので、LTEは電話番号が入っているSIMカードベースのシステムですが、WiMAXはショップに行かなくても無線ネットワーク経由で利用登録できるシステムになっています。また「WiMAXの通信速度が最大40Mbpsなのに対しLTEは最大100Mbps」というようなことも言われますが、使用する帯域の幅や、TDD(時分割複信)とFDD(周波数分割複信)という技術の違いを考慮すれば、同じ周波数利用効率向上技術を使う限り、帯域あたりの速度は同じです。実験のレベルではWiMAXももっと速度が出ています。LTEとはよく比較されますが、我々から見れば、WiMAXとLTEの比較にあまり意味はないというのが実感です。

――移動体通信は競争の激しい業界です。新たな無線ネットワークを一から構築する手間とコストをかけて、ビジネスとして成立できるでしょうか。

 3Gの技術ではないのでローコストネットワークだということもありますが、そもそも我々は競合が多いとは考えていません。この市場はまだ立ち上がっていない。我々はネットワークをフルオープンにします。サービスの面でも「何年縛り契約」といったのは好きじゃないですし。3Gのビジネスとはモデルを変えていこうと思っています。

 インターネットは自由じゃないですか。でも、3Gのネットワークは自由ではないんです。だから、3Gと同じことをやったって面白くない。エンドユーザーやMVNOを含めて、我々のネットワークを使ってくれるお客さんの声をちゃんと聞いて事業をやろうと思っています。ですから、皆さんが指摘する通り、何よりまずはサービスエリアの構築が重要です。できるだけ前倒しで整備できるよう、がんばっていきます。

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