11年前の1998年、当時のClinton米大統領は、デジタルミレニアム著作権法(DMCA)に署名し、法律として成立させた。その際Clinton大統領は、このDMCAにより、米国の主要輸出産業である著作権産業をデジタル著作権侵害から守れると考えた。
しかし結果的に、DMCAは当初の想定よりもはるかに広範な目的で利用されるようになった。電子書籍関連サイトMobileRead.comが今週行った主張によると、Amazon.comは、一部のAmazon以外のソースから入手した電子書籍をAmazonの電子書籍リーダー「Amazon Kindle」で読めなくするために、このDMCAを行使したという。
電子書籍ニュースを提供するコミュニティサイトMobileRead.comは、Amazonから送られてきた警告書のコピーを同サイトに掲載している。それによると、Amazonは同サイトに法的通知を送付し、Kindleに関してプログラミング言語Pythonで書かれた情報がDMCA違反に当たると指摘したという。
MobileRead.comフォーラムの管理人を務めるAlexander Turcic氏は、3月12日付けの投稿の中で、同氏はそのプログラムがDMCAに違反するとは考えていないが、同サイトは「自主的にAmazonの要請に応じ、それに関するリンクや詳細な説明を削除する」と述べている。またTurcic氏は、Amazonの主張に反し、MobileRead.comでは同ソフトウェアを「ホスト」したことは一度もないと付け加えた。
この点について、13日にAmazonにコメントを求めたが、回答は得られなかった。
Kindlepid.pyと呼ばれる問題のソフトウェアの作者はIgor Skochinskyと記載されている。ハードウェア専門のハッカーであるSkochinsky氏は、Kindleについて驚くべき分析を行い、2007年12月に、同氏がKindleにどのようにアクセスしたかについて詳細に述べている。
しかし、なぜAmazonは法的脅威による対応策を講じるまでに時間がかかったのか、また、なぜAmazonはMobileRead.comを標的にしたのかは不明だ:Skochinsky氏のKindlepid.pyに関する最初のブログ投稿の日付は2007年12月になっている。また、Kindlepid.pyソフトウェアのコピーはウェブページ投稿サイトGooglepages.com上でホストされており、いまだにhttp://skochinsky.googlepages.com/azw-0.2.zipでダウンロード可能だ。
Kindlepid.pyおよび、それに関連するPythonコードは海賊行為を可能にするものではない。どちらかと言えば、それとは逆の働きをする。それらのプログラムは、Amazon以外の電子書籍店から合法的に購入した書籍をKindleで利用可能にするためのものだ(Amazon自体も電子書籍店MobiPocketを所有している。その他の店としては、学校や図書館を顧客として抱えるOverDrive.comが挙げられる)。
しかし、AmazonはSprintのEV-DOデータネットワークによる無線接続を提供し、Amazon Kindle Storeで購入される商品の売り上げでそのコストを賄うというビジネスモデルを採用している。そのため、少なくとも理論的には、Kindlepid.pyはAmazonのビジネスモデルを脅かす可能性がある。またAmazonは、ユーザーが手持ちの文書をKindleアカウントにメールで送信すると、Kindle形式に変換するサービスも提供している。 データの変換には1件当たり10セントの手数料がかかる。
Googleのキャッシュに保存されているMobileRead.comのwikiページ(すでに削除済み)のコピーには次のように書かれている。
「(Kindlepid.pyを利用することにより、ユーザーは)書籍に特定の端末でのみ閲覧を許すデジタル著作権管理(DRM)の暗号化を施しているサイトから書籍を入手し、それらを読むことができる。それらのサイトには、電子書籍の販売店や公共図書館が含まれる」
また同ページには、同ソフトウェアのインストールや利用に関する説明が書かれている。
DMCAの1201条は著作権で保護されている作品への「アクセスを効果的に抑制する技術的手段」を迂回する行為を広く規制している。しかし米議会はDMCAの中に免責条項を設け、コンピュータプログラムの「相互運用性」を確保するための迂回を認めている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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