1999年から始まったアフィリエイト業界。いまや広告形態として一般的になっているが、この広告モデルで一番大きなパイを占めるのは言うまでもなく金融業界である。
金融の分野でアフィリエイトが盛んになった一番の理由は、アフィリエイターにとって金融商品が非常に魅力的であったことだ。つまり、媒体報酬が比較的高い割にコンバージョンに結びつきやすいということである。それゆえアフィリエイターの中にはただ自分のブログにバナーを貼って紹介するだけではなく、金融に特化して同種の金融商品を並べて比較し、エンドユーザーに紹介するという手法を編み出した人もいる。いわゆる「比較サイト」の登場である。
アフィリエイトの発展と切っても切れない比較サイト。今回はその中でも最も成熟した分野であり、最近弊社でも取り組んでいる「クレジットカード比較サイト」の現状について解説し、今後の比較サイトの動きについて述べていきたいと思う。
そもそも、クレジットカードで比較サイトが発展した要因としては、クレジットカードの性質と、媒体側の事情の2つの点が挙げられる。
まずクレジットカードの性質について。クレジットカードは誰でも持つもので、なおかつ複数枚所有するため市場が非常に広い。加えてインターネット上で申し込みの意思決定をしやすいことが比較サイト発展に寄与した。つまり、商品を購入するとき実際に手に取ってみたいと考える商品がほとんどであるなか、クレジットカードではそういった心理は働かないのだ。
そして媒体側の事情としては報酬額が上昇したことがある。これがアフィリエイターのモチベーションアップにつながった。下記にも記載するが、多くの比較サイトは集客方法として検索エンジンマーケティングを用いている。つまり、「クレジットカードを作ろう」と思って「クレジットカード」などのキーワードを検索しているユーザーを集めているのである。
クレジットカードは店頭などで勧められて作ることも多い。もう何枚も持っているのに、「ギフトカードがもらえるから」など半ば消極的な理由でカードを作った人もいるだろう。
だが比較サイトから集客されたユーザーは、「カードを使う」という意識が高いため、カード会社としては、有力なサイトからは媒体報酬額を高くしてもカードを作ってほしいというニーズが生まれたのである。
では次に、現状としてどのようなサイトが売り上げを上げているのかを考える。以下、(1)コンテンツと(2)集客方法について述べる。筆者が両方に共通して感じる重要な要素は、「ユーザー目線」であるということである。
アフィリエイトサイトの中には、ただカードのスペックを並べるだけのサイトもある。だがクレジットカードは頻繁に申し込むのもではなく、多くのユーザーはクレジットカードに対して素人である。
そこで、そもそもクレジットカードはどういうもので、どういう点に着目すれば自分に合ったカードを見つけられるかなど、より詳しく説明するとサイトでの成約率が高まる。またどんなカードでも闇雲に薦めるのではなく、本当にユーザーの立場に立ってどのような利点があるのか客観的な意見を述べてくれるサイトや、ユーザーの口コミ情報を載せたサイトなどがユーザーメリットに資しているため成約数も伸びている。
今日、比較サイトは無数に存在しており、ユーザーはいくつかのサイトを巡回した後、アクションを実行する。つまり、比較サイトもユーザーによって「比較」されているのである。ユーザー目線の重要さがわかるであろう。
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