前回のコラムでは、多種多様なインターネット広告の手法の中でも“アフィリエイト広告”と“リスティング広告”の使い分けについて触れた。
双方とも広告出稿単価を自由に設定することが可能なため、非常に細やかな運用が必要になる。すでにリスティング広告の出稿に関しては、ウェブに関わる大部分の企業が強く必要性を感じ、同時に運用の難しさも十分浸透しているように感じる。運用を代理店に任せているケースは通例になった。
アフィリエイト広告に関してはどうだろうか。
日本でアフィリエイト広告が利用され始めてもうすぐ10年を迎える。これまでアフィリエイト広告は低コストで集客できる点がメリットとして脚光を浴びてきたため、安価な広告手法としてとらえられてきたように思う。
そしてここ数年、強くフォーカスされているのがアフィリエイトの顧客獲得における成果の“質”の部分だ。広告主はそこを懸念し、以前より随分とアフィリエイト広告への出向に対して消極的に、そして慎重になった。
アフィリエイト広告の出稿方法は“EC(販促)型”と、“獲得型”の2つに分けられる。前者は売上金額に対しての数パーセントを成果報酬額として媒体に支払う形である。後者は、新規顧客の獲得に対して、ある定額の成果報酬額を支払う形(例:資料請求1件○○円)になるのだが、小遣い稼ぎを目的とした不正ユーザーの行動が問題視されている。
本コラムではこの後者の獲得型でのアフィリエイトにフォーカスしてみる。
媒体への成果報酬単価が安ければ掲載は進みづらく、逆に高ければ獲得は進みやすい。アフィリエイトの成果の報酬は1件あたり○○円。あるいは○%。基本的にどの媒体も一律報酬である。
相場に対して報酬単価の低い商材は、媒体に掲載のメリットを感じてもらえない。もちろん商品力が強かったり、マスで広告を強く露出したりしていると単価が低くても獲得のイメージが湧きやすいため、掲載はうまく進んでいくこともある。
では“獲得型”において単価を上げていけばそのまま数多くの新規顧客の獲得につながっていくかというとなかなかそうもいかない。小遣い稼ぎを目的としたアフィリエイターの不正の標的となり、新規顧客の獲得においての本来の成果が見えづらくなってしまうこともある。
このどっちつかずの報酬単価設定には媒体ごとの“獲得力”に応じた単価の設定が必要になる。
多くの企業が新規顧客の獲得コストとして大体の広告予算を決めており、それが純広告やリスティングではなかなか費用対効果が合わなくなってきている中、アフィリエイトは自由に単価を設定できるため、報酬単価を“安く”している企業が少なからずあるように思う。
それは以下のような理由からだ。
ではその質が改善できるのであれば、さらに積極的に広告費を投じるべきではないか。
アフィリエイトは“安く”運用できるが、低単価では決して掲載できない媒体も数多くあり、報酬単価を一律同額にしたまま運用を投げっぱなしにしていれば、当然の如くしばらくして媒体離れが始まり、早い段階で獲得の鈍化は訪れる。商材ごとに有力媒体とそうでないものを分析し、有力媒体をいかに囲い込んでいくかが運用の分かれ目になってくる。
では、その媒体はどのように見極めていくべきか。
通常の広告掲載の流れは広告主が掲載したい媒体を選ぶが、アフィリエイト広告では媒体側が広告を選び、掲載が進む。アフィリエイト広告の掲載先は通常とは逆の流れで掲載が進むことから、今までになかった独自の媒体も生成された。大きく分けると下記4パターンがあり、それぞれの特性を持っている。
この章でフォーカスしたい点は「比較・専門サイト」と「法人サイト」である。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス