さて、第3回を迎える今回は、アフィリエイト市場が拡大する中で起きている、アフィリエイトサービスプロバイダ(ASP)各社のサービス強化、さらには各社ごとの差別化について話したいと思う。
リスティング広告ではオーバーチュアの提供する「新スポンサードサーチ」、Googleの提供する「Google AdWards」が、不動の大きな入り口として存在しており、圧倒的な業界シェアを誇っている。そのため、リスティング広告では掲載先は迷いにくい。
しかしアフィリエイト広告に関しては、掲載先のASPが70社以上(モバイルASPを含む)存在しており、入り口のASP選定を誤ることによって、広告効果や販促効果に大きく影響しかねない。
ASPは市場のシェア獲得のために各社ごとに差別化を図っている。そのため注力する業界や手がけるサービスはさまざまであり、業界による得意分野がはっきりと分かれている。
今回は、ASP間で起きている市場のシェア争いや各社ごとの差別化に着目し、失敗しないASPの効果的な使い分けについて考えるとしよう。
そもそもアフィリエイト広告の歴史はまだ浅い。1999年にバリューコマースが日本で初となるアフィリエイトサービスを手がけ、PC向けのサービスをスタートさせた。
その後、ファンコミュニケーションズが2000年6月より「A8.net」を提供。2005年には、アフィリエイトサービスプロバイダとしては初となるジャスタック証券取引所にて上場を果たしている。
ほかの主な事業者としては、2001年3月に現リンクシェア・ジャパン、同月にインタースペース、さらには4月にトラフィックゲートが参入している。
翌年の2002年には株式会社アドウェイズが、その後、2004年から2005年にかけて参入企業が増加している。
2006年にはアフィリエイト事業を主力事業とするASPの上場が相次いだ。同年6月にはアドウェイズ、7月にバリューコマース、9月にインタースペースと立て続けに東京証券取引所マザーズに上場したのは記憶に新しい。
まずは、ASPの獲得モデルを大きく3つに分けてみるとする。
ロングテール重視モデルまず、「ロングテール重視モデル」のASPの特徴は、圧倒的な数のサイトと提携している点である。ブログによる圧倒的なブランディング(広告効果)が見込め、膨大なネットワークによる潜在層へのアプローチが可能である。
ECなどに強く口コミによる販促が得意なASPである。ECのマーチャントの多くは、このロングテールを使い膨大な売上を上げている。
しかし、デメリットとしてアフィリエイトパートナー自身による報酬目的での申込などのケースがあり、案件によってはコンバージョン(最終的な獲得)を大きく下げてしまう恐れがある。
もちろん、これらのASPは個人サイト以外にも法人サイトとも提携をしており、案件によりEC以外にも強い業界があり、ブランディングと獲得の両者での効果が得られる。自社のサービスや商品によって使いこなすことが大切だろう。
ヘッド重視モデル次に「ヘッド重視モデル」のASP。その特徴は、主に法人メディアを中心に獲得をしている点である。獲得型のASPといっても過言ではない。
提携サイト数自体は、ロングテール重視モデルより少なくなるが、獲得ユーザーの質が高くアクティブユーザーの囲い込みがしやすい。
提携サイトの1つに法人比較サイトがある。法人比較サイトでは検索エンジン対策(リスティング、SEO)を実施しており、検索エンジン特有のユーザー(顧客層)の獲得が見込める。
しかしこのモデルのASPは数多く存在しており、業界ごとにASPの得意分野が分かれている。なぜかというと、ASPの提携メディアやメディアとのリレーション、注力案件などによって各社異なるからだ。
ヘッド重視モデルでは、得意分野を把握した中で利用するのがポイントとなるだろう。例えば、金融の中でもクレジット、ローン、証券、FX、CX、投資、保険などと分けられており、クレジット案件に強いASPに、証券案件を依頼しても掲載できるメディアは少なく、効果を見込めない。
キャラクター重視モデル最後に「キャラクター重視モデル」のASPの特徴は後発である点だ。独占メディアや独占枠や独自のコンテンツなどをもっており、先発のASPとの差別化を図っている。
この、キャラクター重視モデルで面白いのが独占枠だ。ほかのASPで提携しているメディアでも、そのメディアの有力な枠を独占で抑えるだけで獲得ユーザーの数や質が変わってくる。
キャラクター重視モデルのASPを独占する際は、膨大な獲得数は見込めないが、先発のASPと並行して走らせることにより、十分な効果が期待できる。
そのほか、最近マーチャントの業界に特化したASPも出てきている。掲載メディア数自体は他のASPに比べると少ないのだが、マーチャントの業界にあった提携メディアが7割以上と凄まじい。
さらには、独占メディアを数百と抱えており、業界によって効果を生み出すASPも多く存在している。
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