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勃興する動画広告のベンチャー企業たちとTwitterの可能性--On Media NYCから

志村一隆(情報通信総合研究所)2009年02月23日 13時11分
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 現在、米国ではインターネットの動画配信サイトの人気が高まっている。米国調査会社Nielsenによれば、2008年10月の1人当たりのインターネット動画視聴時間は、前月比で10%増の171.7分となっている。また、スマートフォンの普及により、モバイル端末での動画視聴ニーズも高まりを見せている。

 こうした動向を受け、ニューヨークで開催された広告関連のイベント「OnMedia NYC」でも、動画配信市場にビジネスチャンスが多いと考えるベンチャー企業が新しいサービスや技術を発表した。また、モバイル端末と相性の良いサービスとしてTwitterが注目され、オンラインマーケティングに利用すべきたという主張がなされていた。

勃興する動画広告のベンチャーたち

 OnMedia NYCでは、1社6分で自社サービスをプレゼンテーションをし、ベンチャーキャピタルなどのプロフェッショナルが質問するという形式のコーナーがあり、今回は約100社が登壇した。プレゼンをした多くの企業が、動画広告関連の新たな技術を開発していた。そのなかで、動画配信に関して今までにない技術やサービスを開発し、プレゼンテーションをしていた3社を紹介する。

 Innovidは、動画にインタラクティブ性を持たせる技術を持つ企業だ。CEOのZvika Netter氏は、「プロダクトプレイスメント広告に利用すれば、動画内のオブジェクトをクリックして、外部のキャンペーンサイトに行ったり、動画内でクイズを出して答えてもらったりすることが可能になる」とInnovidの技術の用い方を説明する。

Innovid Innovidのサイト。「CLICK」と示された場所をクリックすると、動画の内容は変わらず建物の壁の模様だけ変化する

 Netter氏が創業した動機は、「動画のクリエイティヴ性を増やしたい」というものだ。Netter氏の考えるクリエイティブ性とは、「動画をただ視聴してもらう目的で制作するのではなく、視聴者がマウスを用いて遊べる、ゲームなどの要素を取り入れることだ」という。Innovidの技術を用いれば、動画制作者は動画のストーリーと関連した様々な情報を動画内に組み込める。Innovidは、イスラエルで設立され、OnMedia NYC開催の1週間前にニューヨークにオフィスを開設した。今後は営業部門を強化する予定だという。

kaltura.jpg KalturaのCEO、Ron Yekutiel氏

 次に注目した企業は、Kalturaだ。Kalturaは、プロフェッショナルが使っているのと同じレベルの動画編集ツールをウェブ上で無料で提供する企業だ。例えば、スノーエフェクトなどのエフェクト機能が10種類以上あるほか、字幕スーパーの挿入、カット、トランジッションなどが可能で、映像を編集するごとにプレビューできる機能もついている。CEOのRon Yekutiel氏は、「今後、オンライン上で動画需要が爆発的に伸びる。YouTubeのように視聴するだけでなく、編集もできるニーズがあると思った」と創業の動機を語った。

 「Kalturaは、初のオープンソースの動画編集サイトだ。個人ユーザーに無料でサービスを提供することでユーザー数を拡大すると同時に、法人ユーザー開拓にも力を入れている」とYekutiel氏は語る。Kalturaのユーザーは、Coca-Cola、Wikipedia、Universal Studiosなど2万社を超えているという。「個人ユーザーの無料モデルには広告が表示される。法人ユーザーとの契約金額等は明かせない」とした。

equibrim_s.jpg Equilibrium CEOのSean Barger氏

 もう1つの注目企業であるEquilibriumは、動画のモバイル転送技術を持つ企業だ。CEOのSean Barger氏によれば、「もともと、動画などのコーデック技術を開発する目的で1989年に創業したが、モバイル端末での動画視聴ニーズの増加を見越し、技術開発をしている」という。

 現在は、iPhone用のサービスだけを開発しているが、対応端末をこれから増やす予定だという。

 携帯電話への転送サービスは、米国大手メディアがコンテンツをテレビ、PC、モバイルの3スクリーンに展開する戦略上、必要な技術である。米国の動画配信サイトであるHuluやCBS.comには、動画を友人にメールで知らせる機能がついている。しかし、モバイルへの転送サービスはまだ提供されていない。Sean Barger氏は、「現在、自分たちの技術を使ってくれるメディアを探している」と語った。

 今後、こうしたベンチャー企業の技術によって、動画をモバイルやPCに転送して楽しむシーンが増えると思われる。また、動画の利用端末が増えるにしたがい、広告枠も増えていく。動画配信ビジネスはベンチャー企業が活躍する余地が大きく、楽しみな分野だと言えるだろう。

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