金融危機に見舞われる中でも、Intelはその歩みを緩めることはないようだ。同社は米国時間2月10日、プロセッサ技術の説明会でこうした姿勢を明確に打ち出し、今後もますます競争が激化することを競合他社に知らしめた。
世界最大の半導体メーカーであるIntelは、新しいプロセッサ、とくにノートPC向けプロセッサの導入時期を早めようとしている。このために、Intelは次世代の32ナノメートル製造プロセス技術をベースにしたプロセッサへの移行を加速し、最先端のプロセッサ工場の稼働率を高く維持するための投資を重点的に行っていくつもりだと、同社の最高経営責任者(CEO)Paul Otellini氏は10日、ワシントンDCで行った講演の中で明らかにした。
簡単に言えば、Intelは潤沢な資金を活用して最新世代のプロセッサをいち早く開発できるので、同社が競争でさらに優位に立つ可能性があるということだ。また、高性能なグラフィックスなど、より多くの機能をモバイル向けプロセッサ、特にノートPC向け製品に組み込むことに、Intelがいっそう力点を置くことも意味している。
「ノートPCへの流れは、大きなトレンドの中で最も重要なものの1つだ」と言うのは、Intelのデジタルエンタープライズグループでバイスプレジデント兼事業担当ディレクターを務めるStephen Smith氏だ。Smith氏は、10日にサンフランシスコで行われたロードマップに関する会見で発言した。この会見のもようはテレビ会議で中継された。
Intelは、32ナノメートル技術を採用したモバイルプロセッサ「Arrandale」(開発コード名)を2009年第4四半期に発売する予定だ。このプロセッサは、グラフィックスプロセッサをメインのプロセッサ、つまりCPUと同じプロセッサパッケージに統合したものだ。従来の製品はグラフィックスプロセッサが別のプロセッサパッケージに搭載されているため、Intelにとってこれは初の統合型製品となる。Arrandaleは32ナノメートルプロセスによるデュアルコアプロセッサで、これまで2010年に発売予定とされてきた。
2009年内には、4コアモバイルプロセッサ「Clarksfield」(開発コード名)も発売されるが、こちらには現行の45ナノメートル技術が使われる予定だ。
どちらのプロセッサも、デスクトッププロセッサの「Intel Core i7」で現在使用されているIntelの新しいマイクロアーキテクチャ「Nehalem」がベースとなる。
Smith氏はまた、今後発売予定のこれらのプロセッサについて話す中で、もう1つの重要な技術的取り組みについても改めて語った。それは、MHzやGHzで表されるようなプロセッサ自体の速度を重視するのではなく、「ハイパースレッディング」、つまりプロセッシングコアを物理的に追加することなく複数のタスクを同時に処理できるようなプロセッサの設計を重視するというものだ。1つのスレッドは1つのタスクを構成する。
「クロック速度は(現行のプロセッサと)ほとんど変わらないだろう」とSmith氏は語った。
Smith氏はまた、「Westmere」についても話した。Westmereとは、(現在はCore i7という名で販売されている)今のNehalemプロセッサから32ナノメートル技術に移行するための取り組みを広く表す言葉だ。
サーバ向け製品に関しては、初のサーバ向けNehalemプロセッサ(開発コード名「Nehalem-EP」)の発売が「目前」だとSmith氏は述べた。これはサーバ向けに設計された4コアプロセッサだが、「ソケット」が2つあるため、サーバ1台あたり合わせて8個のプロセッシングコアが提供される。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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