米アマゾン、新電子書籍リーダー「Amazon Kindle 2」を発表

文:Caroline McCarthy(CNET News.com) 翻訳校正:湯木進悟2009年02月10日 07時22分

 これまで数々のガジェット製品の発表会が行われてきたものの、Amazon.comの新たな電子書籍リーダー「Amazon Kindle 2」の発表はやや盛り上がりに欠ける面があった。

 歴史あるモーガン博物館・図書館で開催された大規模な記者会見には、多くのリポーターやカメラマンが、戸外の寒い歩道にまであふれかえるように詰めかけた。

 Kindle 2の発表はすでに一般のブログで、一連のうわさや流出写真、それに際限なきリクエストの列挙が続いた後に行われた(カラー対応のディスプレイ、PDFサポートの改良、米国外でのKindleストアの提供開始などが、リクエストとして挙がっていた)。Amazonの最高経営責任者(CEO)であるJeff Bezos氏は、まるでAppleのSteve Jobs氏のようなスタイルで壇上に登場し、まずはKindle 2の発表へと進む前に、初代電子書籍リーダー「Kindle」の成功を謳ったスライドショーを要約して見せた。

 しかしながら、Kindle 2のアナウンス自体はそれほど興味をそそるものではなかった。価格は、Kindleと同様の359ドル。バッテリ寿命は、およそ25%改善された。Kindle 2は、初代Kindleの0.7インチ(約17.8mm)から、さらなる薄型化を進めて、0.36インチ(約9.1mm)の薄さとなったものの、本体重量に関しては、わずか0.1オンス(約2.8g)の軽量化が図られただけである。Kindle 2のメモリ容量は、Kindleの256Mバイトから、2Gバイトへとアップしており、約200冊分の保存が可能だったメモリ容量が、約1500冊分にまで向上した。電子インクのディスプレイは、4階調から16階調グレースケールの表示に改良されている。

 ボタンのレイアウトにも、いくらか改善がなされており、テキスト読み上げ機能も新たに搭載された。要するに、ある程度の価値あるバージョンアップとはなったのだが、Kindleが、メインストリームユーザーにも幅広く訴えるものとなる上では、やや決め手に欠くものとなってしまった。

 調査会社GartnerのアナリストであるVan Baker氏は、「改良点は悪くないものの、Kindleの提案価値を根底から引き上げるものとなり得るだろうか?答えはノーである」と述べた。

 さらに、Baker氏は「飛行機内で長時間を過ごし、旅行中に何冊もビジネス書を読むと同時に、The New York Times紙などにも目を通すといった、モバイルセグメントのプロフェッショナルのようなユーザー層から、Kindleは非常に良い支持を集めてきた。この分野での利用を求めるセグメント層にとっては、まさにKindleは最高の製品である。とはいえ、普通に朝起きたら仕事へ出かけ、夜は家に戻ってテレビでニュースを見るといった、ごく一般的な消費者にとっては、今回のバージョンアップがあろうとなかろうと、それほどKindleに提案価値を見出しにくい」と語っている。

 Bezos氏は、現代のような、混沌とした、情報であふれかえった世界に、Kindle 2は必要不可欠であり、印刷機が登場して以来、最も根本的な変化が紙の書籍に訪れる時代が到来したと力説する。Bezos氏は、「長編の読み物が支持を失い、短編の読み物が栄えるようになってきた」と危機感を抱きつつ、「しかしながら、長編の読み物からは、短編の読み物では味わえない多くの物事を学べる。何百ページも読み進んでこそ、初めて学び、理解できることがあるのだ」と述べた。

 続いて、壇上に現れたベストセラー作家のStephen King氏は、Kindleプラットフォームに限定して販売される「Ur」という新たな短編小説に関する発表を行って、マーケティング面で支援する。実のところ、その小説には、不思議な力を持ったすばらしい特殊なKindleが登場する。これは、冗談ではない。

 Bezos氏は「これまで長年の間、電子書籍の販売が続けられてきたものの、その結果はどのようなものだっただろうか?14カ月前までは、その努力は実ることがなかった」と語り、2007年11月に発表が行われた初代Kindleに注意を向けた。おそらくこれまでに50万台ほどが販売され、現在も販売が伸びる中、Kindleは十二分にヒット製品としての成功を収めてきた。現在、販売されている電子書籍数は23万冊を超えており、Kindleの発売当初の9万冊から、大幅に充実した。Kindle 2は、2月24日より出荷が開始される。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ

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