デジタル私的録音問題に関する権利者会議とCULTURE FIRST推進91団体は2月5日、私的録音録画補償金制度に関する記者会見を開催した。
これは、2月3日に改正案が公表されたBlu-rayレコーダーへの課金を機に、補償金制度の適正な見直しを求めて行われたもの。実演家著作隣接センターの椎名和夫氏、日本音楽著作権協会の菅原瑞夫氏、日本映画製作者協会の新藤次郎氏が登壇した。
会見では、Blu-rayレコーダーが私的録画補償金制度の対象に加わったことに対し「関係各位のご努力に対し、心からの謝意を表したい」とした上で、「現行制度内の枠内で当然行われるべきことが行われるにすぎず、そのことで、権利者が考える『クリエーターへの適正な対価の還元』が実現されるものとは考えていない」とした。
また今回の改正案に、現行の録画補償金はアナログ放送の録画に限定したものである、との解釈が述べられている点に関しては「経済産業省、文部科学省両大臣の合意においては、今回の指定が、デジタル放送のコピールールであるダビング10の早期実現のための環境整備であるとのことがすでに明言されており、このような主張が行われること自体あり得ないこと」と続けた。
権利者団体は、今後アナログチューナー非搭載のDVDレコーダー等について、「制度の対象とはならないので協力義務は果たさない」というメーカーが現れた場合には、法的措置も辞さないと明言している。
会見では、録音補償金についても「MDからのデバイス移行が進む中、補償金額が激減する事態を迎えている」と触れ、「補償金制度の見直しに全く協力しようとしないメーカーの姿勢は、理解に苦しむ」と現状を話す。
さらに、2008年12月に「ニコニコ動画」ユーザーに対し実施した、私的録音録画の実態調査結果を発表し、合法非合法を問わずコピーされたコンテンツが大量にあふれていることを強調した。
アンケート結果によると、私的録音に用いる主な機器は72.4%がパソコンと回答しており、パソコンに収録された楽曲を携帯音楽プレーヤーなどにさらにコピーすると回答したユーザーは83.4%。30代までのユーザーが所有するパソコンに保有されている楽曲は239億曲を超えるとの現状が明らかになったという。
こうした結果を受け、権利者団体では「『コンテンツの私的複製』に関する制度問題が棚上げにされたままで、コンテンツ流通ビジネスの促進が語られ、さらにそのためには権利者の権利を制限せよとの提案までされるような現状に対して、強い怒りと危機感を覚える」と主張している。
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