経済産業省は、ネット通販や航空会社のマイレージ、クレジットカードなどで利用が拡大する「ポイント制度」の運用指針をまとめたガイドラインを、このほど発表した。
ガイドラインは、経産省の「企業ポイントの法的性質と消費者保護のあり方に関する研究会」報告書を受け策定されたもの。研究会では、オンラインサービスの普及により近年利用範囲の拡大、複雑化が進むポイント制度において、法的性質の整理や消費者保護のあり方を目的にしている。
報告書では、ポイント制度をめぐって生じている企業と消費者間のトラブルは「双方に認識の違いにある」と指摘。発行する企業は、ポイントプログラムについて対価に関係なく付与されるものであり、一定の条件付きの権利として消費者に提供するものととらえているのに対し、消費者側は商品やサービスに必ず利用できる権利があると期待する傾向にあるというアンケート結果も例示された。
こうした実態に対し同研究会では、ポイント制度の内容に関する消費者への適切な表示・説明や、消費者が直面するトラブルへの対応策が必要と提言。これに基づき、ポイント制度を運用する事業者の行動指針におけるガイドラインがまとめられた。
具体的には、制度全体に共通した指針として、(1)消費者がポイントプログラム内容を網羅的に確認できる仕組み(2)発行企業による重要事項の積極的な表示・説明(3)トラブルなどへの適切な対応--の3点を軸に、望まれる行動規範や対応策などを明示した。
さらに、ポイント制度の類型別による指針では、ポータルサイト・ネット通販サイトで有効期限の異なるポイントを付与する場合には、一元的に把握できるなどわかりやすい表示の仕組みや、パスワードの通知・再発行に関する約款等を明確に定めることなどを推奨している。
一方、研究会では消費者保護の観点から、ポイント制度提供企業に届出や登録といった義務を課すことも議論された。しかし、こうした規制はポイント制度を運営する企業の負担が増大し、サービスそのものの存続を阻害するおそれがあり、最終的には消費者の利便性低下につながる可能性もあることから、事業者側の自主的な取り組みに期待するとしている。
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