ユーザーが「見る広告」「見ない広告」--ユーザーの行動を決める要素とは?

奥井夏子(イー・エージェンシー インフォメーションアーキテクト)2009年01月22日 08時00分

 「どんなサイトのどんな広告をユーザーは見るのか」――これは、広告主もメディア運営者も非常に興味ある事項ではないでしょうか。

 今回は、いくつかの大手サイトを男女計5人の被験者に自由に閲覧してもらい、ユーザーがどの広告に目を引かれていたのかをアイトラッキングマシン(被験者の視線の動きを追跡するツール)を使って検証しました。はたしてどんな結果が出るのでしょうか。

口コミに夢中で広告見ず

 図1は@cosme(アットコスメ)を見ていた被験者A(女性、20代後半)の視線です。右側に配置された広告は全く見られていません。被験者Aはトップページから迷わずユーザーの感想が書かれているページへと行き、その後ずっと口コミを丹念に見ていました。また、口コミ以外の要素には全く目を向けませんでした。

@cosmeを見ていた被験者Aの視線 図1:@cosmeを見ていた被験者Aの視線。水色の線は視線の動きを、丸の大きさは視線の滞留時間の長さを示す。青で囲った広告の部分が見られていないことがわかる
(※画像をクリックすると拡大します)

 価格.comのユーザーコメントページを見ていた被験者B(男性、20代後半)でも同様の結果が出ています。ユーザーが商品などの感想を書き込む口コミサイトでは、読者がほかの人の書いた口コミを読むのに集中するあまり、広告は見られない傾向にあるようです。

検索サイトでのリスティング広告は

 図2は、Yahoo! JAPANの検索結果における被験者Cの視線です。リスティング広告には視線を留めていないことが分かります。

 このユーザーは新しい家で利用するインターネットプロバイダーを探していました。被験者C(男性、30代前半)はYahoo! JAPANで検索し、いくつかの比較サイトを訪れましたが、リスティング広告に目を向けることはありませんでした。

Yahoo! JAPANの検索結果における被験者Cの視線 図2:Yahoo! JAPANの検索結果における被験者Cの視線。青で囲ったリスティング広告の部分はあまり見られていない
(※画像をクリックすると拡大します)

 米オンライン出版協会(OPA:Online Publishers Association)の調査によると、インターネットユーザーが検索に割く時間は、利用時間全体の5%にも満たないそうです。ネット利用時間のほんのわずかな間の中で、ユーザーの興味を引かなくてはならないことを考えると、リスティング広告に視線を向けさせることは決して容易ではないことが分かります。

 現在Yahoo! JAPANの検索結果画面は変更され(テスト実施日は2008年11月26日)、リスティング広告欄と通常の検索結果欄が同じようなデザインで表示されるようになりました。このデザインであればユーザーはリスティング広告をクリックするのか、興味深いところです。

コンテンツに合った広告は視線をとらえる

 口コミのように、ユーザーが記事に没頭してしまうようなコンテンツページでは広告は見られませんでした。しかし、それ以外のページにおいては、専門メディアでユーザーの関心にマッチする広告が出稿されていたらユーザーは広告を見る、という傾向が出ました。

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