全米レコード協会(RIAA)は、著作権で保護された楽曲を不正に共有している疑いのある人々に対して利用した証拠を収集する企業、MediaSentryを見限ったようだ。The Wall Street Journalが米国時間1月4日に報じている。
RIAAは論議を呼んでいる違法コピー対策戦略の一環として、大量の楽曲を共有しているユーザーの証拠をインターネットから収集するMediaSentryの協力を得ていた。世界最大級のレコード会社に代わってRIAAが展開するキャンペーンの下でこれまで訴えられた人の数は約3万5000人に上る。
しかし、MediaSentryはその収集手法がしばしば非難され、侵略的で行き過ぎだと指摘されていた。
The Chronicle of Higher Educationは先日、RIAAのオフィスを訪問し、MediaSentryがどのようにしてファイル共有者を見つけ出すのかのデモを見学している。それによると、MediaSentryはスクリプトを作成し、著作権のある楽曲名を自動的に探し、ファイルを共有するコンピュータのIPアドレスを特定しているという。
MediaSentryは楽曲ファイルのハッシュ値を調べ、著作権のある楽曲に適合するかどうかを調べる。値が一致しない場合、Audible Magicのソフトウェアを利用して、音波を比較する。
MediaSentryはその後、その情報をRIAAに転送することになっていた。
しかし、MediaSentryはどの楽曲がダウンロード可能となっているのかのみを調べるだけであって、誰がダウンロードしているのかを知ることはできない。そのため、RIAAはファイルをダウンロード可能にすること自体が著作権侵害だと主張していた。だが、この戦略は2007年4月、「ダウンロード可能にしていた」ことで著作権を侵害しているとしてRIAAがある夫妻を訴えた訴訟で、連邦裁判所がこの訴えを却下したことで打撃を受けた。
RIAAは12月、デジタル音楽ファイルの海賊行為が疑われる人々に法的措置を講じることは、もはや計画していないと述べた。代わりにRIAAは、ファイル共有の常習者に対する「サービスを縮小する」ことで特定されていない複数のISPと合意に達した。サービスの縮小にはどのようなものが含まれるのか、正確にはわかっていない。しかし、この件に詳しい情報筋によると、ユーザーの帯域幅を制限する行為、通称「スロットリング」には、どのISPも同意していないという。
The Wall Street Journalによると、RIAAは、MusicSentryからデンマークのコペンハーゲンに拠点を置きRIAAと過去に協力したことがあるDtecNet Software ApSに乗り換える予定だと述べているという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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