Warner Music Groupは米国時間12月20日以来、Google傘下のビデオサイトYouTubeと進めていたライセンス契約の再交渉が行き詰まった上で、自社のビデオを削除するようYouTubeに要請したと述べてきた。
しかし、この交渉に近い幹部級の情報筋2人の話によると、事実は異なるようだ。
同筋によると、Warnerが金銭的条件を有利にするよう「土壇場に」要求してきた上で、YouTubeが自社サイトからWarnerのビデオを削除し始めたのだという。4大レコード会社は音楽と音楽ビデオに関する契約についてYouTubeと再交渉中である。
ウェブ最大級のビデオサイトであるYouTubeの幹部らが、Warnerの要求を検討し、Warnerが回答を受け取ったときには、YouTubeは自社サイトからWarnerのビデオを引き上げ始めていた。YouTubeはまた、交渉が決裂したことを自社ブログに投稿し、公に発表することで、最初の広報攻勢を仕掛けていた。それ以来、Warnerの広報関係者は情勢を挽回すべく奔走している。
おそらく、こうした理由から、4大レコード会社がYouTubeに対抗する自社サイトの構築に前向きであるという話や、YouTubeはレコード会社の収益にあまり貢献していないという話、WarnerのYouTube離れはYouTubeによって悪い兆候かもしれないとする話が飛び交っている。
しかし、これらの話のいずれも正確ではないようだ。筆者の知る音楽業界の情報筋によれば、4大レコード会社は自社の音楽ビデオサイトを構築する実際の計画はないし、少なくとも ビデオストリーミングやYouTubeから大きなリターンを得られる計画はないという。筆者は2008年に入ってから、Universalがビデオサイトを検討しているとする記事を書いたが、その後、計画はどこかへいってしまった。
Silicon Alley Insiderは、YouTubeがレコード会社にもたらすある種の収益について、Universal Music Groupは広告収入費で月額2万5000ドルしか得ていないと報じていた。筆者の情報筋によると、これも事実とはまったく異なるという。
Universal Music Groupの幹部は先週、公表を前提として、YouTubeは2008年、同社に多くの収益をもたらしたと述べている。筆者は、All Things DigitalのPeter Kafka氏と同様に、Universalが約1億ドルをビデオストリーミング関連の売り上げとして2008年に計上する予定だという記事を書いている。この金額の一部は他のサービスによるが、情報筋によると、80%がYouTubeからだという。
すべての事柄を考慮した結果、Warnerは、交渉において強く出過ぎようだ。YouTubeには、Warnerが交渉の席を立っても構わないだけの余裕がある。YouTubeで聞かれる楽曲の大半は、UniversalとSony BMGのものだ。Universalには、U2、Kanye West、The Rolling Stonesらが所属し、同社YouTubeチャネルは最もアクセスがあり、これまでに30億ビュー以上を獲得している。Sony BMGは、この数字には遠く及ばないが2位につけており、4億9100万ビューを得ている。
Warnerは、トップ10に入っておらず、2億7800万ビューでなんとか11位となっている。
以上のことから、一部レコード会社は、YouTubeからの収益に満足しているが、Warnerは違うようだ。筆者の情報筋によると、WarnerがYouTubeに関して抱える問題の一部には、自社サイトにあるという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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