グーグルのワイヤレス構想--特許申請で判明したその「オープン度」 - (page 2)

文:Marguerite Reardon(CNET News.com)
翻訳校正:ラテックス・インターナショナル
2008年10月01日 08時00分

 携帯キャリアの経営陣は、サービス品質を維持するには、携帯電話の認証が必要だと主張している。T-Mobileの最高経営責任者(CEO)であるRobert Dotson氏は最近、サンフランシスコで開催された「CTIA WIRELESS」で聴衆に対し、「たとえ外から(オープンな携帯電話ネットワークが)魅力的に見えたとしても、セキュリティやプライバシーを守るため、最低限の管理は必要だ」と述べた。

 当分の間は、Googleはこれらの携帯キャリアのルールに従って行動するよう強いられそうだ。先週初め、T-Mobile USAは、Googleの「Android」OSを使用する初のスマートフォンである「G1」を発表した。G1は10月に発売される予定で、T-Mobileのネットワークでの利用に限定される。

 とは言うものの、Googleは、携帯キャリアが好むと好まざるとにかかわらず、市場を変える大志を抱いている。Googleは1年以上にわたって、同社のオープンネットワーク構想を反映した政策を採用するよう、米連邦通信委員会(FCC)や米連邦議会に働きかけている。2007年には、FCCを説得し、700MHz周波数帯の競売の規則にオープンネットワークの条項を加えることに同意させた。その後、同周波数帯の入札に参加することで、その条項に効力を持たせ、所定の出発点まで到達した。また、利用許可が出されていないテレビチャネルの間のいわゆる「空き」周波数帯を開放するよう、FCCに強く働きかけている。

 Googleは、従来のものに代わるワイヤレステクノロジやネットワークにも投資しており、WiMAXを使って米国全土を網羅するネットワークを構築しようと、SprintとClearwireがWiMAXについて新たに設立するジョイントベンチャーには5億ドルを投資している。また、市内Wi-Fiに手を出しており、すでに無線周波数帯を購入しようとしている。さらに、海中ケーブルの敷設という形で自社のファイバーインフラに投資しており、後々、これは高速バックホールネットワークの構築に使われることになるだろう。

 それでもなお、Googleのオープンネットワークを実現するにはいくつか課題がある。たとえば、携帯電話メーカーは、ユーザーが出会う可能性のあるすべてのワイヤレスネットワークに対応するため、より多くの無線通信機を携帯電話に詰め込む必要がある。これは不可能ではないが、携帯電話のデバイスが複雑になり、コストが上昇し、バッテリの寿命が短くなる可能性がある。また、すべてのネットワークをシームレスに切り替える携帯電話の設計は簡単なことではない。事実、iPhone 3Gの2.5G、3Gネットワークの切り替え機能については不満の声が上がっている。

 さらに、Googleが理想とするワイヤレスネットワークでネットワークの利用を管理するには、リアルタイムのワイヤレスオークションシステムの配備が必要だ。Wired Newsのブログによれば、このことはGoogleにとってチャンスになる可能性がある。特許申請書には、「携帯キャリアがリアルタイムで入札を行って通信サービスを提供する透明なオークション市場」と明記されている。また、ブログには、「AdWords」「AdSense」の経験から、Googleはこのような市場を確立するのにふさわしい存在かもしれないと書かれている。

 1つだけ言えるのは、Googleが構想を実現するにはまだ長い道があるということだ。しかし、ワイヤレスネットワークがより多くのデータを処理するようになり、インターネットに近づいている現在、携帯キャリアが、好むと好まざるとに関わらず、開放を強いられるのは時間の問題だ。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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