ファンドによる第三者割当増資とTOBでGDHの株価が乱高下 - (page 2)

 業績面も厳しい状況が続いており、2007年3月期の連結経常損益は19億3200万円の赤字、2008年3月期は34億9200万円の赤字と2期連続の大幅赤字となっている。今期は小幅黒字浮上を計画しているが、先に発表した第1四半期(4〜6月)決算は1億9700万円の経常赤字を計上。業績計画の下方修正と赤字転落が懸念されていた。そのため、増資による資金注入は、GDHの企業存続に向けた助け舟になると期待された。

 ただ、この増資により増える株式は、現在の発行済み株式の3.2倍に相当。既存株主の価値は大幅に希薄化する。一旦は財務基盤の健全化を好感した株式市場だが、この希薄化のインパクトは絶大で、次第に売りが先行していった格好だ。

 一方、GDHはこの増資とともに、増資の割当先であるいわかぜキャピタルが実施するTOBにも賛同している。いわかぜキャピタルはGDHの現発効済み株式の15%を下限に1株8000円で買い付ける。ただ、このTOB価格はGDH株の9月10日終値8800円を10%下回る水準。通常、TOBは既存株主に考慮して数十%程度のプレミアムを上乗せする。異例とも言える低いTOB価格も、寄り付き後の株価軟調の背景のひとつになったとみられる。

 GDHはアニメ関連ビジネスのほか、オンラインゲームや、タカラトミーと共同でゲームコンテンツの開発なども行っている。過去にはテレビアニメ「アフロサムライ」や長編劇場用アニメ「ブレイブストーリー」などのヒットが話題を集めたこともある。このほか、アニメの海外配信など、有望ビジネスも多く手掛けているが、現在はこれらが収益に結びつかない状態が続いている。

 GDH株は株式市場で、信用不安も高まっている銘柄と認識されている。今回の増資による財務体質改善は上場維持などにはプラスになるとみられるが、今後、投資対象として評価されるには業績面でも改善傾向を示していく必要がありそうだ。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]