また、現在、Second Lifeのアクティブユーザーは減少し、すでにサービスを撤退した企業も見られ、仮想空間の盛り上がりが停滞する中、同サービスを開始する狙いについて、伊藤氏は「日本発の仮想空間サービスを提供すること」だと語っている。
「これまで仮想空間サービスは、Second Lifeをはじめ、どれも洋物が中心。米国で流行したものをローカライズするというのが基本だったが、日本人がつくったらこうなるんだというサービスを展開したい」(伊藤氏)。現在、Second Lifeをはじめとする仮想空間サービスが下火になりつつあるが、それについては「はやり廃り以前に、動かないものは広がらないし、やることがないから廃れてしまうという見方をしている」と分析する。
しかしNicotto Townは「仮想空間をつくりたいのではなく、楽しいものをつくりたいという結果として仮想空間になった」と伊藤氏は説く。
同サービスでは、仮想空間内の街並みにノンプレーヤーキャラクター(NPC)の「動物」がランダムに現れるのも特長の1つだ。これにより、近くにほかのユーザーがおらず過疎状態に陥り、盛り上がりに欠けるといった従来の仮想空間サービスにありがちな問題点の改善が図られるとしている。さらに、ゲームで対戦した動物が部屋に遊びに来てくれるなどの要素を備える。
一方、課金方法については、基本プレイは無料で、アイテム課金方式が採用される。ゲームやコミュニケーション活動を通じて獲得した仮想通貨で購入できるアイテムのほかに、リアルマネーで購入できる有料のアイテムも用意されるという。
現在公開中のアルファ版は8月22日から9月5日までの期間限定で提供。現在、事前公募の抽選で選ばれた1万人を超えるモニターが参加している。伊藤氏は「アルファ版では賑わい感のあるサービスをいかにつくれるかが目的。運営体制が整っていない段階でいろいろとサービスを提供してもトラブルが続いて使えないというのでは意味がない。そのため機能を限定してサービスを提供している」と話す。
今後は9月末にも正式版を公開する予定。2009年以降は、携帯電話へ注力するほか、理論上はFlashベースで動かすことができるPlay Station2、Wiiといった家庭用ゲーム端末への提供、さらには海外での展開も視野に入れているという。
また伊藤氏は、仮想世界の将来について「今後はクロスプラットフォームが重要になると思う」と語った。Nicotto Townでも、ほかの仮想世界との連動を考慮した設計をしている。今後はアバターとアイテム部分を切り離して他サイトでも利用できるようにAPIで提供するほか、ゲーム内に広告を配信するアドゲーム、企業が仮想空間内の1エリアに出店するキャンペーン活動への利用など新たなビジネスモデルの展開への模索を続けていくという。
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