小型フラットパネルの機種を積極的に売り込むという、テレビ業界が販売回復のために自ら選び取った処方箋は効き目があったようだ。
2008年第2四半期の集計結果を見ると、2007年に比べて業界はかなり回復している。米国時間8月21日に発表されたDisplaySearchの報告書「Quarterly Global TV Shipment and Forecast Report」によれば、世界のテレビ出荷台数は前年同期比で11%増加した。ただし、第1四半期からは3%の伸びにとどまった。
それでも3月まで、急速に成熟しながらもなお価格の高い製品を売り込む先を見つけるのに苦慮していた業界にとって、この発表は喜ばしいものだ。
ほぼ同じ時期に、ガソリンや食料品の価格高騰で予算に余裕がないと思われる購入者を引き付けるため、一部の大手メーカーが画面の比較的小さな製品を打ち出してきている。
Vizioは32インチのプラズマテレビで評判を得たが、米国ではここしばらく、プラズマでこのサイズの製品はなかった。松下電器産業、LG、ソニー、サムスン電子といった大手各社も、32インチ、40インチ、46インチといった小さめの画面の製品に力を入れるようになった。
「ソニーとサムスン電子は、さらに価格を低く抑えるために開発された、われわれが『激戦モデル』と呼ぶ製品を打ち出した」と、DisplaySearchでテレビ業界を分析するPaul Gagnon氏は語った。Vizioの小型プラズマテレビは、サムスン電子とソニーの小型で安価なテレビへの移行からくる「影響力を鈍らせる」ことを特に狙ってリリースされた、と同氏は付け加えた。
Vizioの32インチプラズマテレビはクラブストアでおよそ550ドルだ。一方、サムスン電子とソニーの32インチ液晶テレビの小売価格は699ドルで、このサイズでは両社にとってこれまでの最も低い価格となっている。
その結果、プラズマテレビの販売が盛り返している。DisplaySearchの報告によると、世界のプラズマテレビ出荷台数は前年同期比で52%増の340万台だ。これは液晶テレビの出荷台数には遠く及ばないとはいえ、大手ベンダーの多くが基本的に見込みがないと諦めていた技術にとって励みとなる。
プラズマテレビの出荷はどの地域でも増加しているが、特に中国で大きく伸びており、2007年に比べて285%となっている。
それでも大半の消費者が新しく購入するテレビは液晶だ。液晶テレビの出荷台数は2007年に比べて47%増加し、2008年第2四半期では2370万台に達した(プラズマテレビは340万台)と、DisplaySearchは報告している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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