比較サイトの獲得手法に関しては前回のコラムで軽く触れたが、検索エンジンまわりからの流入がメインとなっているため、プロモーションにかけるリスティング広告の顧客獲得単価(CPA)より、アフィリエイト広告の単価が安ければ効果的と言える。
なお、掲載するか、しないかだけでなく、掲載位置によってもユーザーへの見せ方が大きく変わるため、定期的に掲載状況をチェックすることが運用上必要になる。
法人サイトに至っては、ページビュー(PV)がかなりあるにもかかわらず、ポイントサイトなどと比べて爆発的な獲得力があるとは限らない。ただし、企業のイメージアップ、ブランディングにもつながってくるため、アフィリエイト広告を出稿できるのであれば是非とも利用したい媒体である。
基本的に媒体側としては純広告でリスクのない広告掲載をしたいため、当然ながらアフィリエイト広告の掲載を望まないが、特別に高単価を設定することによって、空き枠での出稿も交渉により可能になる場合もある。
1つのプロモーションに関してコンスタントに新規顧客を獲得できる媒体は、広告が掲載されている媒体のうち約上位10%程になり、その中でも獲得力のある媒体はそのうちの一握り。特別単価の設定や、固定費を払った形で媒体への掲載を促進し、
などを目的とした運用で、アフィリエイトプロモーションを活性化させることが必要になる。
実際にアフィリエイト市場規模の大部分を占める金融(クレジットカード、ローンカードなど)においては有力な媒体に対して通常成果報酬の3倍の単価を設定したり、加えて固定費で掲載枠を獲得したりするなど、一部の業界においては単価の高騰もすでに始まっている。
アフィリエイト広告は安価に運用できる広告手法ではなく、媒体に合わせた単価を設定し、細かな運用で確実に成果を獲得しにいく広告手法である。
ここでいう“確実”というのもむずかしい。広告主が目的とするものと内容に親和性が高いとは思えないブログばかり掲載が進み、小遣い稼ぎ目的の不正ばかり増発しているようなプロモーションになっていては、“安かろう悪かろう”になりかねない。そうなると、そもそも運用の価値自体が疑わしい。
広告の成果がすべて設定可能でありながら、なおかつ安く掲載できるなんて、そこまで都合のいい広告手法はあり得ない。
長くアフィリエイトを運用しながら、力に応じた媒体への適正価格を設定し、その媒体の類似媒体を横展開し、辛抱強く媒体とのコミュニケーションを続け、月々の成果を検証し続けることが大事だ。
なぜその媒体から新規顧客が獲得できているのか。ユーザーの媒体への流入経路はどこなのか。アフィリエイトサービスプロバイダ(ASP)を使ってその類似媒体をさらにピックアップすることは可能なのか。その媒体に対してどこまで単価を上げることができるのか。媒体にとっても掲載し続けるメリットを感じてもらっているのか--。
アフィリエイト運用の勝ちパターンの構築は完全な持久戦であり、生半可な運用では成功しない。純広でリスクを背負うのは広告主だが、アフィリエイトでリスクを背負っているのは媒体側である。
今やアフィリエイトはブログなどのロングテールで獲得していく手法ではなく、いかに有力なメディアを囲い込み、リスティングとの組み合わせや純広媒体で高単価を設定し、ブランディングにもつなげていくかという流れになりつつある。
アフィリエイト広告の媒体ごとの単価の設定、単価の高騰は多くの商材において今後ますます活発になっていくだろう。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
パナソニックのV2H蓄電システムで創る
エコなのに快適な未来の住宅環境