米国国土安全保障省(DHS)は、驚くべき新政策を打ち出した。国境を通過するノートパソコンを押収する権利を、無期限に認めるというものだ。
2008年7月に発表されたDHSの2つの政策によると、税関当局は、「米国に入国、再入国しようとする者、米国を出国、通過しようとする者、または米国に居住しようとする者が運ぶ情報」を、(当然ながら)日常的に押収、コピー、「分析」することができるという(政策1および2を参照)。
電子情報の国境での検査は、テロリスト、麻薬の密輸入者、「著作権法または商標法」の違反者の発見に役立つとDHSは主張する(読者の皆さん、iPodやノートパソコンに、違法にダウンロードした楽曲がまったく入っていないだろうか。入っていれば重罪に問われる可能性がある)。
この新政策は憂慮すべきものであり、ノートパソコンを持って国境を通過する人は、DHSの検査をかいくぐるため暗号を使用するようになるだろう。ノートパソコンを暗号化し、フルディスク暗号化を使用して、可能であれば税関を通る前に電源を切るべきである。
2008年3月に掲載した、ノートパソコンを税関対応にするためのガイド(英語)をここで改めて紹介する。
道理をわきまえた人ならば、密輸を防ぐために旅行者のバッグを税関当局が検査できることにまず異論はないだろう。しかし、ノートパソコンを押収してそのハードディスクドライブをコピーするという行為はこれ以上なく権利を侵害するものであり、正当な理由がある場合にのみ行われるべきである。
ウィスコンシン州の民主党Russell Feingold上院議員は、このDHSの政策を「非常に憂慮すべき」政策と述べ、国境での検査に正当な容疑を必要とする法案を提出する予定であるとWashington Postに伝えた。
しかし、議会が法律を変えない限り、DHSの新しい規則は承認される見込みである。米国連邦控訴裁判所は、EnCaseのフォレンジックソフトウェアを使用したハードドライブの詳細な分析は、「国境での検査の原則では正当な理由や令状がなくても可能である」という判決を下したのである。
2008年6月の上院聴聞会で、ニューヨークの検事で現在は法学の教授であるLarry Cunningham氏は、ノートパソコンの検査は完全に容認できるものとして擁護した(しかし必ずしも押収が必要とはしていない)。Cunningham氏は、税関当局がノートパソコンを検査できなければ、「犯罪者やテロリストに、児童ポルノや他の危険で違法なコンピュータファイルを米国に持ち込ませる手段を与えることになり、国境が無防備になる」と述べる。
DHSの新政策では、税関当局は「曖昧な個々の疑念」に基づいて電子機器を押収できるとされている。「ドキュメントおよび電子媒体、またはそれらのコピーは、追加の調査のために差し押さえることができる。この調査は、押収した場所または別の離れた場所で行われ、これには外部の機関や団体からの補助の必要に関連する場所が含まれる」
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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