英通信大手のBTは現地時間7月29日、IP電話プラットフォームを手がけるRibbitを買収したと発表した。同社はこの買収によって、eBay傘下のSkypeからGoogleの携帯電話プラットフォーム「Android」に至るまで、多様な競合相手と同じ土俵で対決することになる。
両社は、BTがRibbitに現金1億500万ドル(5300万ポンド)を支払うことで合意した。Ribbitは、「シリコンバレーで最初の電話会社」を自称し、「オープンなプラットフォーム」(オープンソースのプラットフォームという意味ではない)と銘打った技術を開発者に提供している。開発者は、Ribbitのプラットフォームを核として、IP電話のアプリケーションやサービスを構築できるという。
BTのサービスデザイン担当マネージングディレクターであるJ.P. Rangaswami氏は次のように述べている。「シリコンバレーは、通信における技術革新を促進する環境として頭角を現しつつある。当社はRibbitの買収によって、(シリコン)バレーにおける足がかりだけでなく、画期的なプラットフォーム、成長を続ける開発者コミュニティー、同じビジョンを共有する世界クラスのチームも手に入れることになる」
Ribbitの技術は、携帯電話および固定電話による通信、デスクトップアプリケーション、インターネットアプリケーションを1つにまとめるものだ。たとえば、同社の「Amphibian」というアプリケーション(まだリリースされていない)を使うと、音声メッセージを検索可能なテキストに変換でき、ボイスメールをPCや電話で電子メールと同じように管理できるようになる。開発者らがRibbitの技術を利用して作った既存のアプリケーションの例としては、Salesforce.comに音声を組み込んだものや、Facebookや「iGoogle」で利用できる音声アプリケーションなどがある。
Ribbitの広報担当者が29日にZDNet UKに語ったところによると、同社のマルチプロトコル対応ソフト交換器(ソフトウェアによる通話交換技術)は、「Google Talk」やSkypeなどのサービスからかかってきた通話も扱えるという。
Ribbitの最高経営責任者(CEO)を務めるTed Griggs氏は、プレスリリースで、BTは同社が探し求めてきた「ぴったりのパートナー」だと述べた。「通信業界は新たな局面に入ろうとしている。閉鎖的なネットワークがオープンなプラットフォームへと変化しつつあり、今では開発者が技術革新を牽引している。世界的に広がるBTの『21st Century Network』の力にRibbitの能力が加わることによって、世界規模での技術革新に必要なツールを開発コミュニティーに提供できるだろう」
BTの広報担当者は、ZDNet UKによるメール取材に応え、「(Ribbitの買収は、BTが)シリコンバレーの『Telco 2.0』プラットフォーム開発競争において他を大きくリードし、戦略的な優位性を獲得するのに役立つだろう。この競争には、GoogleのAndroidやAppleの『iPhone』(SDK)も加わっている」と語った。また、統一型コミュニケーションの面から見ると、買収で獲得した技術によって、BTはSkypeやGoogleの「GrandCentral」と競合することになるはずだ。
2006年2月に設立されたRibbitは、BTの傘下に入った後も、現在の社名と経営陣のまま運営を継続する予定だ。BTの声明によると、RibbitのプラットフォームはBTの既存Webサービスに統合されるという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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