匿名ブログや匿名掲示板が示す、日本独自のウェブサービス - (page 2)

原田和英(アルカーナ)2008年07月24日 12時10分
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 このサービスは「個人が情報を配信する」メディアであるブログが持つ強み「個人」を隠してしまうものであり、いわばブログへのアンチテーゼとも言えるかもしれない。これによって、そこに投稿される記事は「誰の記事か」という点よりも「何が書かれた記事か」という内容が重視されることになる。また、自分を隠匿したポジショニングトークを可能とするプラットフォームにもなる。

 なお、このような個性を排除したサービスとしては、はてなの「はてな匿名ダイアリー」を思い浮かべる人もいるだろう。ここでは、自分のIDを隠したまま記事を投稿できる。目につくものとしては、「告白」「揶揄」などのような自分のブログでは書きにくいことを記したものや、実名で書くには照れや恥ずかしさがある「小説」「論説」などの読み物系の記事が多い。昨今では、ここの記事がはてなブックマークの人気エントリーに選ばれることもあるようだ。

 また、匿名といえば、匿名掲示板「2ちゃんねる」も大きな存在だ。ここでは投稿が匿名で投稿される(固定ハンドルといった特定の名前を利用することも可能だが任意)。「ジョーク」「誹謗中傷」「体験談の告白」「情報提供」「ネタ」など各種の情報が盛んにやりとりされている。

 日本でのこのような匿名サービスの隆盛を見ると、海外よりも日本では、「匿名」が重宝される土壌がある傾向に見受けられる。ここでそのような文化論にまで踏み込むつもりはないが、各所で言われていることでもある。ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)でも、実名よりもハンドルネームが重宝され、ブログでも実名を使うは少ないように見受けられる。海外では、匿名電話が可能な「JAJAH」や匿名メッセージを可能にする「Hikkup」などいくつかはあるものの、匿名サービスが大きくユーザーを集めているという話は聞かない。

 と、ここまではよく話題になるところだ。では、今後、「匿名」をうたうサービスはどうなっていくのだろうか。日本で実名が少ないのは文化的背景の違いもあるだろうが、何より実名でいることの利益よりも不利益が多いからの要素も関係している。その背景には、企業や学校などの環境要因が違うという点が上げられるだろう。しかし、逆に実名の方が利益があると考える人たちは、ネット上でも実名を出す人が増えてきた。特にSNSとブログが誕生して以降、その動きが顕著である。しかしながら、同時に、実名であることの不利益も露見し、どちらが適しているかは個人の状況に寄るところが多いだろう。その結果、今後、日本のネットユーザーが実名利用にシフトしていくかどうかは、その利益の大きさによって変わってくる。

 もし、今後も匿名が好まれるようであれば日本のウェブサービスは独自の進化を続ける可能性がある。そして、そこにこそ日本で受け入れられるサービスのアイデアが潜んでいるかもしれない。

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