AOLは米国時間6月30日、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)上で稼働するアプリケーション開発者の収入確保を支援する取り組みを発表した。これは、FacebookやBeboのプラットフォーム上で稼働するアプリケーションの開発者が同社の広告関連組織Platform-Aの広告技術を利用した場合、彼らにCPM(Cost Per Mille:広告掲載1000回あたりの料金)の売り上げを保証するというもの。SNSアプリケーション開発は利益につながらないという従来の常識を打ち破るのが目的だ。同プログラムでは、ある開発者のアプリケーションが広告を3回表示させるたびに、AOLからその開発者に定額の報酬が支払われるが、その具体的金額は公表されていない。
Platform-Aのパブリッシャーサービス担当シニアバイスプレジデントであるDave Jacobs氏はプレスリリースで、「ソーシャルネットワークに対する広告主の関心は着実に高まっている。Platform-Aは、アプリケーション開発者に一定の利益を保証するものだ。それにより、彼らは収入を確保し、アプリケーションから確実に利益を上げられる」と述べ、さらに次のように続けている。「Platform-Aは、アプリケーションの利益化について心配せずに、インストールベースの拡大のみに専念できる環境を開発者らに提供することにより、ソーシャルネットワーキングアプリケーションの価値を大幅に高められると考えている」
一方、AOLにとってこれは、SNSプラットフォーム向けアプリケーションの開発者、特にFacebook向けアプリケーションの開発者を相手に商売をしている多くの競合中小広告ネットワークに対して優位に立つための手段だ。その中には、当然Googleの広告システム「AdSense」も含まれている。この新たな収入保証システムは、AOLがAdvertising.comで展開している開発者に特化したプログラム「Widgnet」の一環だ。同社は、このWidgnetを利用することにより「ウィジェットを巧妙な小型アプリケーションから、よく働く売り上げ生成機に変えられる」と主張する。
現在、アプリケーション広告の選択肢が非常に多いが、実際の成功例があまりに少ないため、アプリケーション開発者にCPMを保証することは、少なくとも最初は、効果的な誘因になるかもしれない。しかし、開発者コミュニティーは結束が強いことで知られており、仮にこの取り組みが彼らの収入増につながらなければ、その情報はあっという間に広がり、開発者らは一斉に他のサービスに乗り換えるだろう。
現在、この取引が適用されるのは、FacebookやBebo上で稼働する米国版のアプリケーションを利用した米国のユーザーに限られる。Beboは、今春OLに買収され、Facebookとはアプリケーションポータビリティで提携している。このプログラムは、順調に進めば今夏中に欧州で展開される予定で、将来は他の開発者プラットフォームにも拡大される可能性もある。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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