アクティビスト投資家のCarl Icahn氏が、米国時間7月4日までに、米Yahooに関する最終的な議決権行使勧誘書類を米証券取引委員会(SEC)に提出する見通しだ。Icahn氏に近い情報筋の話では、同氏が最終的に、Yahooの現経営陣9人の過半数を追い出し、自ら選んだ現体制反対派の候補を役員席に座らせるのか、あるいは経営陣の交代がごく数名にとどまるのかが、この書類によって示されるという。
また、Icahn氏のブログ「The Icahn Reportの6月27日の投稿によると、同ブログ上で今後、「Yahooおよびその経営についての見方を簡潔に」示す計画だという。
6月26日にすでに仮の議決権行使勧誘書類をSECに提出したIcahn氏だが、最終的な議決権行使勧誘書類はまだ提出していない。最終的な書類では、8月1日のYahoo株主総会でIcahn氏が推す、Yahooの新しい取締役候補者全員の氏名が明らかにされる。それによって、Icahn氏が、現在のYahooの経営陣9人のうち何人を交代させる気でいるのかがわかり、同氏がYahooの取締役会の多数派を支配するつもりなのか、それとも少数派支配にとどまるのかがわかる。
議決権行使勧誘書類の提出の過程においては大抵、反体制派の株主が仮の書類を提出して、SECと何度か議論を重ねてから、最終的な書類を提出するという流れになる。また、当然のことながら、反体制派の株主は、SECのコメントを無視した形で最終書類を提出することをひどく嫌う。
6月26日のブログ投稿で、Icahn氏は次のように書いている。
多くの人がYahooのことを私に尋ねてくる。私が今、委任状争奪戦の最中にいることを思い出してほしい。委任状争奪戦には、複雑なSECの承認プロセス、米国の証券法、提出の必要条件などの問題が絡んできて、非常に多くの時間と費用もかかる。
SECの規制があるので、現時点で委任状争奪戦についてコメントするつもりはない。しかし、私は皆さんに、Yahooおよびその経営についての見方を簡潔に示すことを計画している。更新を知らせてほしいという方には、(フィードの)登録をお薦めする。しばらくお待ちを。
一方、Reutersの報道によると、Yahooの3番目の大株主、Legg Mason Capital Managementでポートフォリオマネージャーを務めるRobert Hagstrom氏は6月26日、MicrosoftがYahooの買収から手を引いた場合の「プランB」をIcahn氏が示す場合を除き、同氏の推す経営陣を支持するのは保留したい考えを明らかにしたという。
Reutersによると、投資リサーチ企業のMorningstarがシカゴで開催した年次投資カンファレンスで、Hagstrom氏は以下のような発言を行ったという。
「Icahn氏は、3つのことを要求している。つまり、Yang氏を(CEO職から)外すこと、手厚い退職制度をなくすこと、売り上げを強化することだ。(中略)Microsoftに売却できなかった場合、プランBはどんなものになるのだろうか。私にはプランBが必要だ。そして、Yang氏を外すとしたら、誰を(CEOに)雇うのだろうか?」
また、Eric Jackson氏など一部の投資家は、Yahoo取締役会にIcahn氏の意見を反映させる機会を増やす取り組みとして、現取締役会の半数未満の反対派を送り込むよう、同氏に求めている。
Jackson氏や、プロクシーソリシター(委任状勧誘・回収業者)の情報筋の指摘によると、遠くにぼんやりと見えているMicrosoftとの契約が成立しなければ、Icahn氏がYahooの取締役会を支配するのは困難になるかもしれないという。しかし、送り込む取締役がたとえ取締役会の中で少数派であっても、Icahn氏は社内からの改革を有効に推進する方法を見つけるかもしれない。
もう1つの選択肢は、Icahn氏が現経営陣9人全員を交代させることだ。この場合に同氏が期待するシナリオは、RiskMetrics GroupやGlass Lewis & Co.、PROXY Governanceなどの委任状アドバイザリ企業が、自社の機関投資家顧客たちに向けて、Yahooの提案する候補者名簿には賛成票ではなく反対票を投じて、Icahn氏の推す候補者全員に投票するようアドバイスする、というものだ。
しかし実際には、これらのアドバイザリ企業はいずれも、Icahn氏が推す候補者全員を選ぶことを支持しておらず、Icahn氏側候補者の一部だけが選出されるのが望ましいとして、アドバイスを行う可能性もあると、ある情報筋は指摘した。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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