Firefox 3の正式リリースから1週間が経った。リリース24時間以内のダウンロード数は800万以上。当初は500万を想定していたが予想以上の結果だったという。Firefox 3は順調な滑り出しを迎えたが、米国Mozilla Corpの新CEOであるJohn Lilly氏は早くも今後のMozillaの活動について語り始めた。
現在、Mozillaが進めているプロジェクトは下記の4つだ。
これらのうち最初にリリースされるのはFirefox3.1。Mozillaにはプロダクトのコードネームに国立公園の名前(Firefox 2はカナダの公園ボネコ、Firefox 3はイタリアの公園グランドパラディーソ)をつける風習があるが、ついに日本の番が回ってきた。Firefox 3.1のコードネームは北海道の「知床」だ。
しかし、なぜ知床なのだろうか。これを決めたのはFirefoxのリードエンジニアリングチームだという。オリンピックのように、北米、ヨーロッパときたので、次はアジアという流れがあったそうだが、「中国のダイロク公園はコードネームに向いていない。でもシレトコという響きには詩的な趣があると感じた」。リリース予定は2008年後半だ。
Firefox 4のリリース時期は未定。もちろんコードネームも決まっていない。
Firefox Mobileの早期バージョンは2008年中にも公開される。コードネームはフェネック。これは国立公園の名称ではなく、かなり大きな耳を持ったきつねの一種だという。
MozillaはFirefox Mobileの対応OSとしてWindowsとリナックスを想定している。John Lilly氏は「それ以外のOSも潜在的な選択肢として残している」としながらも、iPhoneやAppStoreを巡るAppleの動きに対しては明らかな不快感を示した。「1つの会社がAppStoreを稼動し、コントロールしている。どのアプリをユーザーに売るか、売らないかをAppleが決めることになるが、それはオープンとはいえない」。
「Appleが出しているライセンスの関係上、我々はFirefoxをiPhoneに載せるためのSDKを得られていない。だからiPhoneはウェブではない。オープンなウェブは、誰かを怒らせることを気にしなくてもいいし、とにかくやってみればいい。ライセンス料も発生しない。とにかくアプリを開発すればいい。我々はビジネス上敵対的でないプラットフォームに注力していく」(John Lilly氏)
Flashのサポートについても同じことが言える。Firefox Mobileはデスクトップ版同様、Flashに対応する予定だ。「近代的なブラウザになるためにはFlashをサポートする拡張が必要だ。他のプレイヤーがこのように考えてないのが不思議だ。iPhoneは非常に競合的なライセンスを打ち出している。そのためSunがJavaを、AdobeがFlashを、我々がブラウザを組み込むことができない。Appleはセキュリティの問題と言っているが、我々はビジネスの問題だと思っている」とJohn Lilly氏は語る。
Mozillaにとって深刻なのは、iPhoneでFirefoxを使いたかったとしても、Appleがそれを許していないこと。John Lilly氏は次のようにAppleを非難した。「Appleが出しているライセンスを読んだところ。コードを解釈するようなソフトウェアは受け入れられませんと明記されていた。Javaも、Flashも、コードを解釈するようなブラウザも受け入れないということだ。Appleはかなり広範囲にわたって排除している」。
これはMozillaにしてみればブラウザ開発を禁止されたも同然だ。John Lilly氏はAppleの意図について、「プラットフォームをコントロールしたいのだろう」とだけ述べた。ちなみに同氏は元Apple社員で、MacもiPhoneも愛用している。
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