そして、ノートPCに求められる第一は、やはり耐久性だ。持ち歩くパソコンだけにアクシデントに遭遇する可能性があるが、ここで壊れてしまっては役に立たない。その点、RXを使ってみると、見た目に反して意外にタフであることを実感する。実際、かなり薄いボディなのだが、液晶の部分は東芝独自の「バスタブ構造」で作られ、マグネシウムボディは思ったよりもガッチリしている。
また、万が一の際の被害を最小限に抑える機能がある点も、普段使用していて実感できる。たとえば、ある程度の高さから落下させるようなことになれば、そのときに最もダメージが大きいパーツはHDDだろう。HDDの部品としての価格はそれほどでもないが、HDDはデータを収納しているため、データ消失が計り知れない損失につながることもある。この場合、回転部分のないSSDモデルを使えば、衝撃によるデータの消失は裂けられるかもしれない。しかし、HDDモデルでもその対策は十分に行っている。加速度センサーを内蔵し、自動的に衝撃の到来を予測、あらかじめHDDが壊れる原因をつくるヘッドを退避させ、データが多数保存されたディスクの被害を最小限に食い止めることだ。
実際に、不用意にパソコンを動かすと、センサーが察知してHDDが退避モードになることがわかる。しっかり守られていることが実感できるのだ。
それ以外のボディ部分の耐久性は、フラットな液晶画面は、全面に均等に100kgfの圧力を加え、LCDパネルが割れないことが確認されている。落下についても75cmの高さから、4方向から落としても正常動作を確認しているという。
RXのフラットな外見は、一見、薄っぺらに見えるものだが、押しつぶされる力には強い。これは、加工が難しいマグネシウム合金に、東芝が長年蓄積してきたノウハウで強度向上のための工夫を行っているためだ。厚みがあるパソコンでは、逆に内部に突起があるものもあり、ある程度押されると内部破損が発生するものある。RXの薄さは耐久性にも役立っているのだ。
実際に他にも荷物が入ったかばんにRXを入れ、混雑した電車に乗っても問題はなかった。実はこの耐久性がセキュリティ性能にもつながっていく。押しつぶされを恐れるばかり、網棚にカバンを置けば、置き忘れや盗難にもつながるからだ。
実際にdynabook RXを使ってみると、ノートPCを20年近く手がける東芝の数々のノウハウを感じることができる。キーボードのサイズや配列、薄さによる持ち運びやすさや扱いやすさなど、数値に表しにくいものまで作りこまれている。
このことは、耐久性をとってみても、実際に遭遇する状態に応じた対策がなされている。たとえば浸水テストでは、ただの水による試験ではなく、水よりも机に置いてあることが多いコーヒーやコーラで試している。砂糖やミルクの入ったコーヒーは、水とは粘性や成分が異なるため、ひとまわり優れた性能が求められる。RXはそこまで考えられているのだ。
落下試験も正確に水平に落下することはあり得ず、いろいろな方向からの落下試験は必須だ。たとえば、ノートPCの落下は、持ち歩いている途中でオフィスの床に落としたり、デスクで充電しているときに、電源ケーブルに足を引っ掛けて落としてしまうこともある。実際ひやっとした経験のある人も多いだろう。
このような状況でも、各方向からの75cm落下試験をクリアし、HDDの衝撃予測装置とあわせれば、うっかりの事故があったとしても、被害を最小限にとどめられる可能性も高い。
なお、自社で行った耐久試験を自身でアピールすると、試験結果に疑いの目を持つ人も少なくない。東芝では耐久試験を外部機関にも確認してもらい、性能が自らの確認だけでないことも証明している。
dynabook RXを使ってみての感想は、モバイルとして必要な持ち歩くための性能だけでなく、しっかり使えるという性能をきちんと備えたPCであることだ。
長時間の電池稼動と軽量化だけを訴求するあまり、いちばん大切な「ノートPCで作業をする」ということが考えられていないノートもある中、dynabook RXは、持ち運びと操作性の両者のバランスがきちんと取れていることを実感した。
とくによいと感じたキーボードのサイズ、配置、押しやすさ。そして、バックライトなしで使える液晶はこのRXの最大の売り。残念なことに、これらのスペックは数値化しにくく、他機種とスペックだけで単純比較すると、優位点が目立たないことだ。
賢明なノートPC選びをするなら、ぜひ、単純な数値比較だけでなく、実物を触るなどして判断してほしい。その際、RXは必ず最後まで購入対象として残る機種となるだろう。
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