モバイルで急成長する企業たちの本音--ビジネス戦略や規制問題を語る

西田隆一(編集部)2008年06月05日 20時32分
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 札幌で開催されているインフィニティベンチャーサミット(IVS)では、IT業界に関するさまざまなセッションが行われている。

 「どうなるモバイル業界?」と題されたセッションでは、モバイルの検索やポータル事業を手がけるエフルート代表取締役社長の佐藤崇氏、SNSを手がけるグリー代表取締役社長の田中良和氏、モバゲータウンで知られるディー・エヌ・エー(DeNA)取締役の守安功氏、ヤフーモバイル事業部長の松本真尚氏がスピーカーとして壇上に登った。モデレーターを務めるのは、シーエー・モバイルの前専務取締役の小野裕史氏(現インフィニティベンチャーLLP 共同パートナー)だ。

 まずは、それぞれの企業の最近のトピックから話がスタート。

 岸部四郎氏を起用したテレビCMで話題となっているグリーは、5月で会員数が500万人を突破。いままでのインターネットのサービスは自然に会員数が増えていくものだと思っていたが、今後はテレビのようなマス媒体とモバイルでの露出を組み合わせて会員数を増やしていくのが普通になっていくのではないかと、田中氏はテレビCMを開始した経緯を語る。「いいサービスや技術力も大事だが、高いマーケティング力を持つことが次は重要」(田中氏)

 グリーは現在、モバイルサービスの月間の会員純増数ではナンバーワンだと言う。特に顕著なのは30歳代、中でもユーザープロフィールが変化しており、女性の利用者が活発だと田中氏は付け加えた。

 一方、DeNAのモバゲータウンは4月に会員数が1000万人を突破。最近力を入れているのが4月に発表されたゲームポータルだという。ゲームポータルは、無料のゲームサービスを提供し、アイテムに課金をする方法をとっている。

 現在、モバゲータウンは四半期でおよそ50億円の売り上げをほこる。その内訳は、広告が20%、会員向け仮想通貨のモバゴールドと連動したアフィリエイトが30%強。そして、アバターでの直接課金が50%弱だという。モバゴールドもアバターをカスタマイズするために使っていると考えると、アバター関連で80%の収益を生み出していることとなる。そこで、アバターに左右されない新しい収益モデルとして、ゲームポータルを開始したと守安氏は語る。

 すでにゲームポータルでは、タイトーから提供されたゲームが開始されているが、スクウェア・エニックス提供のウェブゲーム「エルアーク」、ORSO(オルソ)提供のフラッシュゲーム「釣りゲータウン」が予定されている。釣りゲータウンは来週にもベータ版が開始するという。

 最近話題となっている携帯電話のフィルタリング問題については、彼らはどのように考えているのだろうか。モデレーターの小野氏からスピーカーに質問が投げかけられた。

 守安氏は、2007年12月からのカスタマーサービスの強化など、影響を最小限にしていくためのDeNAの取り組みについて語り、現在はフィルタリングで適用されるブラックリストからはずしてもらうような動きをしてきたという。あわせて、いわゆる「青少年ネット規制法案」については、最終的には「国が積極的に関与して、第三者機会に口を出すことはなくなるだろうと見ている。現状では(モバゲータウンへの)影響が最小限のところで進んでいるのではないか」という見方を示した。

 一方、ヤフーの松本氏はフィルタリング問題については、公式サイトと勝手サイトというようなわけ方があったからこのような案が出てきたのではないか、モバイルサイトもオープン化によってPCのインターネットのようなっていけば、ユーザーのリテラシーも含めて自浄作用などによって正常化が進むのではないかという見解だ。

 エフルートの佐藤氏も同様に、キャリアがゲートウェイをもっているから、フィルタリングできるのではないか、オープン化することでユーザーが学習し、問題が解決できるのではないかと言う。

 ビジネス面では、検索によるモバイルサービスの方向性に目が向けられた。エフルート、モバゲータウン、ヤフーはすべて検索サービスを提供している。

 守安氏は、モバイルの検索については、「精度としては、PCで利用されているものほどは提供できていない。これは技術的な問題もあるが、PCで利用されている検索エンジンと比べてウェブページの量が少なく、なんでもすぐに見つけられるようになるには数年かかる」と言う。実際のクエリーは芸能人名などかなり偏ったクエリーが多いのだそうだ。

 一方、ヤフーの松本氏もウェブページが少ないという問題点を指摘する。ただ、それはいままでは公式サイトのような課金モデルか、あるいは、ある特定のサイトだけが収益を上げられるようになっていたからだと言う。モバイルのオープンな動きが進めば、PCのインターネットと同じようなマーケティングができるようになる。つまり一般の企業などがモバイルのウェブサイトを作る価値が出てくるようになる。そうなれば検索の質が上がって行くだろうと指摘する。

 実際、ヤフーのモバイルサイトでは、芸能人名などに偏った検索クエリーではなく、PCの検索エンジンと同様のクエリーに近づいているという。また、モバイルで検索した際に、ヤフーではPCサイトへの引継ぎ検索を提供しているが、ユーザーがPCのサイトを見る機会が減ってきている。これは、モバイルのみの情報で、十分だと考える人たちが増えてきた証拠だと松本氏は語った。

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