ソニーは5月14日、2008年3月期の通期連結決算を発表した。デジタルカメラやパソコンなどが好調だったものの、サブプライムローン問題に端を発した株式相場の下落でソニー生命の転換社債の評価損などがあり、目標としていた営業利益率5%は達成できなかった。
売上高は前期比6.9%増の8兆8714億円で過去最高。営業利益は同4.2倍の3745億円となり、営業利益率は4.2%となった。
ただし、この営業利益には旧本社跡地の売却益607億円、長崎での半導体製造事業に関する設備等の売却に伴う利益156億円、ドイツのベルリンにあった複合施設「ソニー・センター・アム・ポツダマープラッツ」の売却益100億円が含まれる。これらの売却益を除くと、営業利益率は3.2%にとどまる。
懸案となっていたエレクトロニクス分野は、デジタルカメラ「サイバーショット」、PC「VAIO」などが好調で、営業利益率5.4%と、目標の4%を大きく上回った。ユーロに対する円安で為替差益が出たことも貢献した。
ただ、液晶テレビ「BRAVIA」については、価格競争により単価下落が激しく、同事業では730億円の赤字となった。「上半期では商品競争力が弱くて、価格で挑まざるを得なかった。大型のフルHDテレビなどを出したが、他社の価格攻勢が厳しかったこと、パネルの供給量が厳しく、空輸による出荷をしたことなどで損失が拡大した」(同社執行役EVP兼CFOの大根田伸行氏)
このため、2009年3月期にはテレビ事業をてこ入れする。具体的には、外装(シャーシ)部分を現在の6モデルから2モデルに減らし、コストを削減する。また、これまでソニー仕様にしていたパネルについても、低価格品を中心に汎用パネルを採用する。エントリモデルと呼ぶ低価格モデルを増やして全世界で販売し、売り上げ増を狙う。
また、Blu-ray Discレコーダーについては、「2008年3月期ではまだ赤字」(大根田氏)だが、2009年3月期は売上台数が伸び、後半には黒字化できるとの見通しを示した。
2009年3月期の連結業績については、売上高が前期比1%増の9兆円、営業利益が同20%増の4500億円、営業利益率5%を予想している。為替の影響については、ドルに対して1円あたり40億円の影響、ユーロについては同70億円の影響があると見ている。
なお、2009年3月期からの中期経営計画については、6月に発表するとのことだ。
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