KDDIの順調な業績拡大を評価して、株価が反転上昇基調を強めている。同社が4月24日に発表した2008年3月期の連結決算と2009年3月期の業績見通しがともに好調となったことから、株価上昇に拍車がかかりそうだ。
2008年3月期の連結決算は、売上高3兆5962億円(前々期比7.8%増)、営業利益4004億円(同16.2%増)、経常利益4079億円(同16.2%増)、純利益2177億円(同16.6%増)と2ケタ増益を達成した。
同社の移動体通信累積契約件数は、2008年3月期末に3010万件と3000万件を超えた。2007年度の純増数は215万件となった。契約件数の増加が寄与して、移動体通信事業の前期の営業利益は4550億円(同18%増)となった。ただ、同業他社との料金競争激化に伴う値下げや、平均通話時間の落ち込みなどの影響もあり、携帯電話のARPU(1契約者当たり月間収入)は6260円と減少した。
一方、固定通信事業の営業赤字は646億円と前期の156億円の赤字から大幅に拡大した。
2009年3月期の連結業績予想は、売上高3兆7000億円(前期比2.9%増)、営業利益4430億円(同10.6%増)、経常利益4400億円(同7.9%増)、純利益2500億円(同14.8%増)と前期に続いて今期も営業利益で2ケタ増益を見込んでいる。
2009年3月期の携帯電話純増数については、前年に比べると減少するものの、126万件の増加を見込んでいる。同社の小野寺正社長は今期の動向について「携帯電話の個人利用者の流動性は鈍化するが、法人利用者ではデータ通信などのモジュールはまだ伸びる」と指摘した。
さらに、市場全体の純増見通しについては、前期の約600万件から今期は390万件程度に縮小するとの見方を示し、KDDIのARPU(1契約当たりの月間収入)は2008年3月期の6260円が2009年3月期には5660円に低下する見通しを明らかにしているが、契約数増加が通話料収入の増加を支え、これが利益を拡大される見通しだ。
また、2009年3月期の設備投資額は、5900億円(2008年3月期の実績5170億円)とした。携帯電話の2ギガヘルツ帯、新800メガヘルツ帯に関連した投資を進める計画だ。
2009年3月期の年間配当は1万1000円とする方針。2008年3月期予想の同1万500円から500円の増配となるが、増益に伴って配当性向は2008年3月期予想の21.5%が2009年3月期予想では19.6%へと低下する。これについて小野寺社長は「連結配当性向20%以上を目標に、安定配当をしていきたい」としている。
KDDIの株価は、2007年5月に107万円をつけて以降、全般下落相場の中で、ほぼ一貫して下落トレンドを辿り、2008年3月18日には年初来安値の56万7000円まで売り込まれた。しかし、その後は改めて好調な業績推移への評価から株価は反転上昇基調となっている。先週末25日の終値は68万6000円まで上昇してきた。
連結PERは依然として12倍台と割安水準。さらに、来週中にも日足チャートで株価の先高を示唆するシグナルとされるゴールデンクロス(75日移動平均線を25日移動平均線が下から上に抜く)を示現するなど、中期的に株価上昇加速への期待感が強まっている。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス