アメブロが大成功狙える時期にきた--サイバーエージェント藤田社長に聞く - (page 2)

取材:島田昇(編集部)、文:光安竜也2008年04月25日 18時56分

年内にはアクセスランキング10位以内へ

--2007年12月で1年前の56位から13位までアクセスランキング(ネットレイティングス調べ)が伸びました。

 年内には10位以内に入ります。ただ、上位5位以内に入らないと駄目だと思っていて、それを年内に実現するのは難しいでしょうが、この伸びを維持し続ければ十分狙える範囲だと思います。

--著名人のさらなるブログ開設以外では、今後、ページビュー増加に貢献しうる機能面での劇的な発展は望めないようにも映ります。ネットのコミュニケーションに疲れているユーザーも多数見受けられます。何がアクセスランキング5位になるエンジンになるのですか。

 ブログの本質はコミュニケーションメディアなので、単純にブログを書くだけならどこで書いても一緒です。ブログの最大のメリットは回遊性にあり、知らない人がリンクを辿って訪れてくる可能性こそがブログの魅力であり、そこをもっと強化していきたい。

 基本姿勢はオリジナルティのあるオープンなメディアで新しい物を作っていくという考えです。SNSのように閉鎖的にするつもりは全然ありません。ブログの進化度合いで言えば、海外も国内もこれで十分だと進化を止めてしまったようにも映る現状、我々が最先端に立っているという自負があります。

--2007年と比べて市場規模が4倍になるとも言われている2012年、アメブロ事業における売上高と売上高営業利益率の目標は。また、単年度黒字化はいつなのか。

 それは分からないですね。ただ、我々が狙っているのはメディアでのホームラン。ちょっと儲かるようなヒットではなく、ものすごく成功する部類を狙っております。

 GoogleもAdsenseが始まってから急激に広告事業が伸びましたし、ヤフーもオークションで収益基盤が確立されましたが、現在の延長線上でそういったホームランが出るかもしれませんし、出ないかもしれません。

メディアほど収益性の高い商売はない

--アメブロでホームランが出なかった場合、サイバーエージェントという会社はどうなるのか。

 アメブロ事業は中長期計画の中で重要な役割を担っていますが、起死回生でやっているわけではありません。たとえ駄目でも、他の事業が全体的に調子がいいので、十分、会社としては成り立ちます。

 アメブロ以外でも重要な新規事業案件はありますが、我々はメディア企業として成長したいのです。これほど影響力を持っていて、収益性が高い商売は他のどの産業を見渡しても見当たらないですから。

--メディアもさまざまですが、確かに放送メディアに関しては平均年収や収益性を見ると非常に高い。収益性の高い商売である放送市場が、徐々にネットにその市場を食われる可能性があり、ネット企業としてその受け皿として大きな存在でありたいということですか。特に、著名人という放送コンテンツの核となる素材をネットで多数保有しているところは、通信放送融合など直接放送分野に参入しようとするビジネスモデルより実現可能性を感じます。

 そうですね。メディア業としてより多くの人に見られて影響を受ける分野を当社でやっていきたいと思っていたのですが、その言葉が現実味を帯びてきていますね。

--しかし、放送関連で考えると「AmebaVision(アメーバビジョン)」は他社の動画配信事業と比べて出遅れている印象を受けます。

 動画と未成年に対するメディアへの投資は様子を見たいです。特に動画はコスト負担の問題が大きいので、絶対に儲からないと見ています。「ニコニコ動画」のプレミアム会員から課金するというビジネスモデルは正直「やられたな」という感じですが、今は他にやれることが一杯あります。

 確かに、出遅れのリスクもありますが、様子見でいいという判断材料の1つに著作権問題にどう対応していけばいいのかという問題があります。そしてもう1つが投稿動画のレベルが上がりすぎているという点です。

 テレビや映画だと選択権はありませんが、「YouTube」やニコニコ動画ですと本当に面白い上澄みだけをユーザーは見ています。ですから、ほとんどのコンテンツが死滅していて、面白い動画だけがランキングに浮上してきてさらにページビューを伸ばす――。このかなりハイレベルな世界がすでに構築されていて、あれ以上の動画サービスを考えるのはかなり困難だと思います。

 逆に我々に余裕がなければ動画サービスにも飛び込まざるをえなかったかもしれませんが、現状ではリスクの方が大きいと思っております。

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