サイバーエージェントが2月18日まで、3営業日連続で値幅制限いっぱいまで買われた。東証マザーズ市場、またネット関連銘柄の指標株として、新興市場全般をけん引する強力な値動きとなっている。
サイバーエージェントは13日の取引終了後、2008年9月期第1四半期(2007年10〜12月)決算を発表。第1四半期の連結売上高は前年同期比15%増の208億100万円、経常利益は同2.1倍の17億8000万円となった。
利益面の大幅な伸びは、ネット系企業を対象としたベンチャーキャピタルを手掛ける投資育成事業でミクシィ株売却益を計上したため。サイバーエージェント株はこれまで、この投資育成事業に頼った不安定な利益体質を敬遠されてきた経緯がある。なぜ、株式市場は今回だけ決算数字を素直に好感したのか。
今回の第1四半期決算では、既存事業であるネット広告の回復と、新事業として経営資源を集中させてきた「アメーバブログ」のブログ事業の拡大も確認されている。ネットメディアでモバイル広告が伸び、広告代理ではリスティング広告などが高成長している。
市場関係者が最も注目しているのは同社社長である藤田晋氏の肝入りで注力しているブログ事業。業界では圧倒的な地位を確立しているものの、事業収益はまだ赤字が継続。先行きへの懸念もあったが、会社側が当初、9月までに達成したいとしていた月間30億ページビューを1月に前倒しで達成。月間30億ページビューは、一般的に広告媒体としての価値が高まる基準として認識されている数字だ。
著名人ブロガーの積極的な登用がページビュー数の拡大をけん引しており、2007年12月の国内ページビューランキングは13位に急浮上。同9月は26位だった。
株式市場が懸念していたブログ事業の収益力への懸念を払拭するには十分な数字であり、今後のブログ事業の本格的な収益寄与への期待が一層、高まってきている。
通期の業績計画は連結売上高が前期比7%増の812億円、経常利益は同42%減の30億円。ただ、この計画には第2四半期以降、株式市場などの影響に左右されやすい投資育成事業の売り上げを織り込んでいない。公表計画数値としては信頼感を欠くものだが、足元の状況から前期比増益転換への期待も高まっている。
サイバーエージェントは日々の売買代金が常に新興3市場のトップクラスに入る人気銘柄。13日取引終了後の第1四半期決算発表を受けた翌14日の取引では、サイバーエージェント株の急騰に連動してマザーズ市場のネット関連株が一斉高となった。米国でヤフーをめぐるM&A(企業の合併、買収)合戦が盛り上がっていることを背景に、日本のネット株の買収価値などを見直す動きも台頭してきている。
サイバーエージェント株は週末15日も値幅制限いっぱいまで買われた。サイバーエージェント株の強力な値動きに刺激を受けてネット株全般の売買も盛り上がり、東証マザーズ市場全体の売買代金は年初来最高を記録した。
決算シーズンの中、新興市場上場銘柄には業績計画の下方修正が相次ぎ、投資マインドは低迷。東証マザーズ指数は13日まで連日で過去最安値を更新していた。しかし、サイバーエージェントの好決算をきっかけに買い安心感が台頭。また、15日取引終了後には楽天が決算を発表し、新興企業主要企業の決算が一巡している。ここからネット株人気の再興を指摘する市場関係者も増えてきている。
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