年初から下落の続いていたミクシィ株に変調の兆しが訪れつつある。2月5日付当欄で指摘した通り、同社株は2007年12月4日に210万円の株式分割後高値を付けて以降、下方トレンドが鮮明化。2008年3月11日には77万1000円まで売り込まれていた。
ミクシィはSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)サイト運営でトップを快走。業績は引き続き好調で、2008年3月期業績計画は4月16日に上方修正。非連結売上高は従来予想97億円から100億円(前期比91%増)、経常利益は同32億円から37億円(同72%増)、最終利益は同17億5000万円から20億円(同79%増)へ増額された。
3月末時点の会員数は1400万人に達したもよう。2007年12月末は1297万人だった。3カ月間の総ページビュー数は2008年1〜3月、直近四半期の2007年10〜12月の361億ページビューから370〜380億ページビューへボトムアウトしたとみられている。
業績好調が続いているものの、会員数、ページビュー数の伸びが衰えつつある。また、パソコンからモバイルへのユーザーソフトが想定以上のスピードで進んでおり、これを広告単価下落につながると指摘する向きも少なくない。株価は安値圏で推移。株式市場は引き続き、ミクシィの近い将来の業績成長鈍化を懸念している。
今回の業績増額修正後もアナリスト筋のネガティブな評価が目立った。増額修正に対しては「ノーサプライズ」(三菱UFJ証券)、「やや弱いとの印象を受けている」(新興証券)などの声が聞かれた。
一方の株価は業績計画の上方修正が発表された翌日、前日の4倍以上の出来高をこなして上伸した。アナリスト筋の冷静な見方とは対照的に、株価は上方修正を素直に好感した格好だ。
株価は2008年に入ってから2009年3月期以降の業績成長鈍化を懸念し、下げ続けてきた。210万円から77万1000円まで大幅な下落を経て、ようやく成長鈍化を織り込みつつあるとの観測が浮上。日興シティ証券では「業績モメンタムの鈍化は株価に織り込まれつつある」と指摘している。
ミクシィはこれまで前年比2倍以上の成長を続けていた。アナリストは、ミクシィの2009年3月期について売上高、利益とも3〜5割程度の成長へ鈍りそうだと予想している。
3月期決算は5月9日に発表予定。会社側は保守的な業績計画を示す傾向にあるものの、現在の株価はそれも含めたネガティブインパクトまでも織り込みつつあるとみられる。
新興市場は不動産関連や輸出企業などの業績悪化を受け、業績面への警戒感が台頭。売買代金が大幅に縮小している。「動かないから資金が流入しない、資金が流入しないから動かない」という悪循環に陥っていた。
4月後半からは決算内容に一喜一憂する展開となるが、ミクシィのようにアナリストによる業績予想が多く出されている銘柄に付いては、そろそろシーズン後をにらんだ資金流入も観測され始めている。
ミクシイ株は2007年12月を頂点とした下落トレンドが続いていたが、3月に77万1000円の安値を形成後、下値を固めつつある。一気のトレンドを転換、急上昇は望みづらいものの、今後は同安値を基点とした、底打ち反転トレンドの形成を見守る展開へ進む可能性も浮上してきている。
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