モバイルサイトの新たなユーザーインターフェースを求めて、Klabが開催した「ケータイFlashサイトデザインコンテスト」。一般のクリエイターを対象に、「楽天ブログ」など既存のHTMLベースのモバイルサイトをFlashを使った新しいデザインに仕上げてもらい、優れた操作性や表現をもったデザインを表彰するというものだ。受賞作品は4月21日に発表されており、受賞作品はKLabのサイトで公開されている。
4月9日に開催された審査会では、去就が注目されるNTTドコモ執行役員の夏野剛氏も審査員として参加した。夏野氏はこの席で、NTTドコモを退社する予定であることを明言。今後については多くを語らなかったが、「いくつもの名刺を持つ」「中立的な立場の名刺もある」などと発言し、複数の企業や団体に関わっていくことを示唆した。
今回の審査会に関する感想や今後の活動、現在の携帯電話業界を取り巻く環境についての考えを、夏野氏に聞いた(※編集部注:コメントは4月9日時点のもの)
僕がAdobeにお願いして携帯電話にFlashを載せたが、その根底には、限界がある携帯電話の操作性を何とかFlashで打開できないかという思いがあった。横スクロールをどう実現するか、といったように、端末側での限界がたくさんある中でよくここまでやっていただいたというのが正直な感想だ。
携帯電話業界全体が行き詰っているかのような報道がなされているが、2007年度もiモードはパケット収入が1000億円増え、1兆3000億円を超えた。有料コンテンツの収入も増え、2000億円を突破している。さらに、(パケット定額制の)パケホーダイ契約率は全FOMA契約者の30%を超えた。つまり、(パケット通信の)利用は増えていて、お金も動いている。携帯電話業界が成熟したと言われる中で、(モバイル)コンテンツの世界はお客さんにますます浸透していっている。
だが、すでに公式サイトでサービスを提供している企業は、特に古くからやっているサイトほど適度にお客さんが来てくれるので、ユーザーインターフェースの部分も含めて「まぁ(現状のままで)いいか」という部分がなきにしもあらずの状態だと思っている。
今回のような試みがあると、「自分のサイトはここまで来ているだろうか」と感じていただける。ほかのサイトにも(この考えが)波及してもらって、ユーザーにもっと使いやすい環境を提供できればいい。
我々自身も――僕は辞めちゃいますけど(笑)――もうちょっと操作性を良くするための仕組みを何とか仕込んで去りますので、まだまだモバイルの利用は伸びるという目で見ていただければ。
まだ決まっていない。
今は言えない。言ったら(記者の人は)書くでしょう(笑)
企業の活動には、他社に勝つということと、お客様に良いものを提供することという2つの軸があって、その(注力する)比率は時によって変わる。でも僕は、常に他社にもない、まったく新しいものを提供して、それでお客さんをハッピーにするということをしてきた。それは(iモードの)成功体験とか、そんな小さな話ではない。常に新しいものを提供してきた結果として、他社との競争にも勝ってきた。
それはいい質問。3Gのときも、3Gがイノベーションなのではなかった。アプリが、機能がイノベーションだった。FOMAだって、僕がやって(90xシリーズになって)から普及した。
パリに先ほどまで出張に行っていたが、欧州ではまだ一部のアーリーアダプター層が3Gを使っているだけで、日本のように誰でも使っているという状況にはなっていない。確かにインフラ部分ではずいぶん来た(普及した)けれども。メールだって、端末にPOP3対応のメールアプリがわざわざ入っている状態(で、日本のようにEメールが標準ではない)。SMSが儲かるからそうしているのかわからないが、それはお客様のことを本当に考えているとはいえない。
潮目にあるとは思っていない。PCインターネットとモバイルインターネットは今までだって一緒だった。
ただ、PCでもお金を払う仕組みはたくさんできているけれども、モバイルコンテンツのほうが圧倒的に市場が大きい。それはお客さんがお金を払ってもいいと思うものをきちんと提供できているから。
(iモードが使える)現在の電話を完全に捨てて、iPhoneを3カ月使えるか試してみたらいい。iPhoneのインターフェースは、確かにすごく良いけどね。
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