Microsoftは、オンライン広告分野でGoogleと善戦するかもしれない。これは、Googleが企業向けソフトウェア分野でMicrosoftと勝負するよりも有利に進む可能性がある。Gartnerのアナリストが調査報告書の中で結論を下している。
この競争の一方は、企業向けソフトウェアとPC中心のアプリケーションでは最大手のMicrosoft。同社が狙っているのは、オンライン広告分野での売り上げ750億ドルである。2011年までの達成を見込んでいる。
GartnerのリサーチバイスプレジデントでありフェローのDavid Mitchell Smith氏によると、Microsoftはモバイルやゲーム、オンラインサービスなどの分野に投資したものの大きな利益を得ることができず、成長のための分野を探しているという。同氏は「Google vs. Microsoft」と題された報告書を執筆し、今週ラスベガスで開催されるGartner Symposium/ITExpo 2008で発表する予定だ。
Yahooに対するMicrosoftの買収提案はこの戦略に沿うものであり、両社が合併すれば広告市場で文句なく第2位になる、とSmith氏は言う。
この競争のもう一方は、ペイパークリック広告を利益の生み出す事業に変えた検索エンジンのGoogle。一般の人が無償で利用できる(ただし、企業向けのプレミア版は利用者数に応じた年間利用料が必要)Google Appsでクラウドコンピューティングへの流れを活用(促進)しようとしている。
Smith氏は、GoogleはGoogle Appsで大きな利益を産み出そうとしていることに確信を持っていないとしながらも、この取り組みはMicrosoftにとって目障りではあっても、今すぐ同社のエンタープライズビジネスに対する深刻な脅威にはならないだろうと予想している。
「Microsoftが広告分野で伸びる可能性は、Googleがエンタープライズに進出する可能性よりも大きいだろう」(Smith氏)
Smith氏は、「Googleがまったく伸びないということではない」と付け加え、「これまでの企業での利用を見ると、そのほぼすべてがボトムアップ、つまりエンドユーザーが主導したものだった。そうした製品を採用するという戦略的意志決定をした経営陣は多くはない」と述べた。
あえて反対意見を展開すれば、インスタントメッセージやLinuxが従業員やエンジニアチームに広がったのと同じように、Google Appsが企業内で広く採用されることになる可能性はある。しかも、Googleは、企業の経営陣にとって第一の関心事であるセキュリティ問題に対応してきたし、オフラインでのアクセスも可能にした。
\また、Googleはオンライン広告でMicrosoftよりも有利な滑り出しを見せている。たとえ、MicrosoftがYahooを買収したとしてもこの差は埋まらないだろう。
すでに伸び悩んでいるライセンス形式のソフトウェア市場の未来が、オンライン広告の世界よりもリスクが高いと感じるのは言うまでもないだろう。たとえ景気が後退している状況であってもだ。無料の製品とやり合うのはとても難しいことである。
しかし、Googleは、特にサービスとしてのソフトウェア(SaaS)が勢いのある短い期間で、どうやってクラウドコンピューティングから利益を産み出すのか正確に理解する必要がある。同社は検索分野ではそれができた。アプリケーションでもうまくやれる可能性はある。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」