位置連動型広告は日本から世界へ--シリウステクノロジーズ宮澤社長に聞く

 シリウステクノロジーズは2008年2月10日に開催された「Tech Venture 2008」で国内の有望なベンチャー企業10社に選出された企業だ。同社は「位置情報に付随して表示するマッチング広告」という、モバイルならではの広告手法を開拓している。東京大学在学中の2004年に学生起業家として同社を創業した宮澤弦社長に、中核サービスである「AdLocal」や今後のビジョンについて聞いた。

--御社の「AdLocal(アドローカル)について教えてください。

 AdLocalは、2005年末からテストサービスを開始して2006年春から本格稼動を開始した当社の中核サービスです。

 分かりやすく言うと、オーバーチュアやGoogleアドワーズが、「キーワードにマッチした広告を表示するリスティング広告」だとすれば、AdLocalは「住所に対するマッチング広告」です。近くにいる人に、単価が高くてクリック率の高い広告を提供するというコンセプトのもとに地域広告を提供しています。

--広告をクリックするユーザー側は、どのようにAdLocalを認知して利用しているのでしょうか?

 たとえば、提携メディアのひとつである「モバゲータウン」の表示例で言いますと、サイト内に「タウン」いうメニューがあって、日本中のローカル地図が表示されていてユーザーが家を建てたりして遊べるのですが、場所ごとに当社の地域広告が掲載されています。そこをクリックすることでユーザーはクーポンをゲットできたり、あるいはその地域の求人情報などを見ることができます。

--ユーザーからは普通のテキスト広告のように見えるということですね?技術的にはどのような処理を行っているのでしょうか?

 広告が掲載されるサイトの仕様によってさまざまですが、サイトのページ自体が緯度経度情報を持っている場合もありますし、また、クリックすることでGPSを用いた位置情報をこちらに送ってもらって、地域の広告をマッチングしている場合もあります。

 AdLocalでは、GPSだけではなくさまざまな位置情報を処理しています。たとえば、「渋谷」などのクエリが入力された場合は、地名をいったん緯度経度情報に変換して当社が蓄積している地域ごとの広告にリンクさせます。他にも、基地局情報や、(NTTドコモの)iエリアなどから変換することもできます。

 「位置情報」と言っても本当にさまざまなフォーマットがあります。当社の技術的な強みは、そうしたさまざまな位置情報が上がってくると、瞬時に緯度経度情報に変換して、何万もある広告の中から広告単価とクリック率を判断して、結果を1つか2つのリンクとして媒体側に返せることです。それら一連の処理をわずか0.1秒以内で返すことができます。

--たとえば、キーワード検索で直接地名を入力するのに比べて、緯度経度情報で処理する強みはどこにあるのでしょうか?

 キーワード連動広告の場合、たとえば渋谷にいるお客さんを誘導したかったら、「渋谷」というキーワードが直接含まれていなければなりませんよね?しかし、実際の住所が渋谷でなくても、徒歩圏内で行ける場所は広告価値があります。緯度経度情報なら、住所に関係なく情報を提供できます。だから「実際は近くにいるのに情報が出てこない」という広告表示の機会損失を減らすことができます。これが位置連動広告の強みです。

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