10人のエンジニアが見せた開発者コミュニケーションの最前線--「コミュニケーション 2.0」

トップ開発者の仕事環境とは?

 2月13、14日に行われたDevelopers Summit 2008は、ネットコミュニケーションを裏で支える開発者コミュニティーの有名人10人が、次々とショートプレゼンテーションを行う「ネットコミュニケーション 2.0」で幕を閉じた。

 登壇者の10人はそれぞれ、会社や自分自身がどのような仕事の環境を整えているか、またどんな形で日々を過ごしているかを語る。「ニコニコ動画」の開発者であるドワンゴの戀塚昭彦氏のテーマは「在宅勤務」だった。

 在宅勤務はモチベーションなどの面ではメリットがあるものの同僚の声が聞こえてこないなど問題も多いと語り、これらの問題を克服する上で重要なのが「コミュニケーション」だと強調する。同氏は、在宅で「ニコニコ動画」を開発していたが、あらかじめ目指すべき目標やイメージを十分語り合っておくことができたからだと説明する。

 モバゲータウンを開発するディー・エヌ・エー(DeNA)の松内良介氏は、同社の秘密をいくつか紹介した。DeNAでは携帯電話3キャリアに対応したテンプレートコンパイラを基盤に開発を行っているが、同コンパイラは「ifとかloop(といった基本的な命令)しかできない、きわめてシンプルなもの」で、それだけにhtmlの知識しか持たない人に教えるのが楽だという。

 モバゲータウンは現在有効会員数903万、月間151億ページビュー(PV)の巨大サービスであるため停止時間を約90秒に抑えているが、松内氏は、その仕組みも紹介。最後に同社が海外進出を開始したことに触れ、日本のエンジニアは海外では低く評価され、あまり前面にでることも少ないことを指摘。「英語にめげずに、海外で情報発信をする人が増えてほしい」と締めくくった。

 モバイルファクトリーの松野徳大氏はIRC ClientやLimeChat、オリジナルのタスク管理システムや社内ブログなど、社内で使っているツールについて軽く触れた後、社内のイントラブログについての問題点を指摘する。松野氏はイントラブログについて人々が気を使い過ぎて上っ面だけの本音のコミュニケーションがされていないと語り、タバコ部屋での会話のような気軽で本音を語るコミュニケーションの重要性を説いた。ただ、松野氏はタバコを吸わないので、これに変わる物として毎日1時間「帰りの会」、毎週1回「週次レビュー」を行っていることを紹介した。

 ここでコードレビューなども行うが、ただプリントをして持っていけばいいので、すぐに話が終わる。大事なのはそうやって会議の時間を余らせることで、そうしたタバコ部屋に似たダラダラした時間やグダグダした話し合いの中からこそ重要な話が出てくるのだという。

 XPJUG企画担当スタッフ/PFP理事で、現在、電機メーカー系ソフト開発会社にて動画技術関連の仕事を手がけるあまのりょー氏は「社内勉強会のススメ」というトークを行った。

 今回のデブサミ同様、複数のセッションが同時に開催されるイベントでは、どうしても聞きたいセッションの時間が重なって聞き漏らしてしまうことがある。 同氏はそうなった場合、スピーカーの1人に社内でスピーチをしてもらうように頼んでいるという。勉強会用の予算も用意しており「聞き逃した後、すぐに打診する」のがコツだという。

 また、同氏はこれに加えて、社内ライトニングトーク(数人で連続してショートスピーチを行う)や朝の読書会を実践しているという。

 同氏と同僚が同じ本を同時期に買ったことから、会社に行く前に1時間カフェでコーヒーを飲みながら本について語り合う時間を作るようにしたのがきっかけで読書会は始まったという。

 読書会での意見交換を活発で効果のあるものにするために、居心地のいい場所を選ぶほか、上下関係を抜きにして、どんな発言でもできるような環境を作っているという。同氏は発言をしやすくすることを重要視しており、社内の会議でも「言い出しっぺ」、つまり最初の発言者に責任がかからないように注意しているという。

トップ開発者が選んだツールを紹介

 トークの中には、自分が日常的に使っているツールを紹介しているトークもいくつかあった。

 ネットウォッチャーとして、1日に膨大なウェブページに目を通していることでも有名なotsune氏は、ユーモアたっぷりに、「(ウェブ上での)観測範囲が狭いのは不幸」と訴え、「1日は誰にでも平等に24時間」として、その限られた時間でいかに多くの情報を見るかを紹介した。

 otsune氏はネットウォッチャーになるためには、手動の巡回は効率が悪すぎるとし、自動化して閲覧スピードを落とす要素をなくすことが鍵だと語る。

 同氏はブログをフィードリーダーの「Bloglines」で閲覧し、それ以外のRSSフィードはPlaggerで普通のメーラーとGmailに転送。Gmailを保管用として使い、動作が速い普通のメーラーで記事を読んでいる、という。ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)の書き込みもPlaggerを使ってRSSフィード化している。

 また、それと同時にインスタントメッセンジャー(IM)を常に立ち上げておき、Twitterなどのミニブログサービスをチェックするという。

 写真家の非営利団体Shibuya.jpgのメンバーでもあるcho45氏は、開発者が各自でつくっている公開リポジトリを1つにまとめるというサービス、CodeReposの利用を勧めた。オープンソース開発で問題となる修正やメンテンナンスの際の負担を軽減するとともに、同サービスにリポジトリを登録しておくことで、作りかけのまま放置していたプロジェクトが動き出したりするなど、いろいろ効果があるという。

日本から世界に向けて発信

 また自分のつくった作品や、プロジェクトを紹介するトークもあった。Windows用Twitterクライアントとして有名な「Twit」を開発するエムロジック取締役のcheebow氏は、同ソフト開発の裏にあった「戦いの歴史」を紹介する。

 サービス当初不安定だったTwitter。同社サーバー側の問題で、動作に支障が起きた際にも「Twitがおかしい」「Twitがバグってる」「Twit死ねばいいのに!」と、ソフトウェアについて罵詈雑言が飛んできた、とその苦労を語る。

 また、日本語対策にも骨を折った。Twitterのサービスがはじまってしばらくの間、日本語が文字化けするという問題があった。半角文字と全角文字の間にスペースを挿入することで文字化けが回避できたため、同氏は自動でスペースを挿入する機能を搭載したという。

 苦労が多かった一方でソフトの開発を通じてプラスになる経験も多かったという。Impress Watchの窓の杜が主催するソフトウェアのアワード、2007年「窓の杜大賞」では金賞を受賞したほか、Twitterを通じて友人も増え、オフ会などにも参加するようになった、という。

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