英語学習SNS「iKnow!」誕生の裏側--運営会社セレゴに迫る - (page 3)

鳴海淳義(編集部)2008年02月20日 06時00分

iKnow! の多国籍開発部隊

 セレゴ・ジャパンの開発陣はさながら多国籍軍というべき、多彩な顔ぶれだ。日本で活動する外国人のプログラマーグループとコンタクトをとり、そのグループをベースとしたクチコミによって人材を集め、チームを組んだ。

 事実、セレゴ・ジャパンでiKnow! の開発に携わるエンジニア18人のうち、日本人は2人だけだ。あとはすべて海外から来ている。同社の社員は25名強だが、出身国もバラエティー豊かで20カ国に上る。今現在、外国人プログラマーの間で、セレゴ・ジャパンという会社名は、テクノロジーカンパニーとしてある程度の認知を得ている。

080219_iknow5.jpg外国人主体で構成されたiKnow! のエンジニア陣。開発スペースは目が疲れないように照明を落としている。

 「最近になって特に多いのが、僕はFlashが得意です、こういうものを作ったので見てください、セレゴのメンバーになりたい、といった連絡です。我々は学習ビジネスを展開していますが、そこがポイントではなくて、実はセレゴ・ジャパンはテクノロジーカンパニーなのです。最先端の技術を駆使してサイトの構築・運営を行っているため、外から見ていてもわかるんですよね。中身はRuby使っているんだなとか、Flashでいろんなことやっているなとか。そういうのが好きな人たちが自然と集まってきます」(長谷川氏)

 Eric氏はマニアックユーザーを大事にする土壌がマニアックプログラマーを引き寄せると語る。「例えば、サイトを使っているユーザーが実はプログラマーで、自分でプログラムを書いたアプリケーションをiKnow! サービスに絡め、他のユーザーにも使ってもらっている。そうするとアイデアはセレゴ・ジャパンに集まるし、そういう流れに敏感な他のプログラマーたちも自然にiKnow! に集まってくる。マニアックユーザーとマニアックプログラマーの両方とも大事にしたい。マニアックプログラマーがいればいるほど、新しい発想が出てくる。我々はWeb2.0、そしてその先に向かって突き進んでいます。もちろんセレゴ・ジャパン独自の基本方針はありますし、我々は我々のビジョンを追いかけています。また、現在のところすべてのコンテンツはセレゴ・ジャパンが作っています。しかし、永遠にそういうわけではない」

 例えばFacebookのように、プラットフォーム化を目指しているということだろうか。その答えは「プラットフォームの提供と、学習コンテンツの提供、両方です」というものだ。長谷川氏は次のように語る。「プラットフォーム化に力を入れるということは、逆にコンテンツから退いてしまうように思われるかもしれませんが、そうではなくて両立していく。プラットフォームという環境を整え、ツールを与え、コンテンツを提供する。全ての意味でユーザーが『使える』開発をやっていかなければならないと考えています。ただ単に場を与えるだけは終わらせない。これから非常に多彩な展開を進めていきます」。

 Web 2.0は、サービスを提供する側と使う側が双方向でコミュニケーションをとり、一緒に良いものを作っていこうという世界だ。すでに10万ユーザー到達も目前に来ている。例えばその1%のユーザーが熱心にiKnow! の世界で、色々な意味で活躍してくれれば、99%の他のユーザーたちはその恩恵を受けることができる。ユーザーが自発的に発信するものを最大限に活用して、サイトを発展させていく方針だ。

まったく新しい広告技術の着想

 さて、iKnow! は無料でサービスを提供しているだけに、やはり広告が収益の柱となる。ただ、この会社はバナー広告をサイトに貼り付けることはしたくない。広告においても新しいアプローチを検討している。一言でいえば、学習と広告をマッチさせて、広告主にも学習者にも双方にメリットのある高い効果のある広告モデルだ。

 まだ完成には至っていないが、そのビジョンについて、Eric氏は次のようなヒントを与えてくれた。

 「発想としては、広告は行動を変えるということです。例えば、炭酸飲料の広告主ならば、広告を見た人がその飲料を買うことを望むでしょう。広告主のみなさんは認識していますが、要は彼らは、低価格で、かつ最もインパクトの大きいキャンペーンを望んでいます。広告を一回見せることによってユーザーが行動を変え、商品を買う。これが広告の究極の形です。行動を変えるということは学習でもあります。同じように、セレゴ・ジャパンもできるだけ少ない回数で、脳に最も刺激を与えて、より長く使える、行動を変える学習システムを提供しています。つまり、入り方が違うだけで、学習と広告には 共通点が多く、ゴールも一緒なのです」

 少なくとも現在のオンライン広告と違う方法で、脳科学、認知科学をベースとした新たな広告手法が生み出されることになりそうだ。

 「我々は広告主のパートナーでもあるし、ユーザーのパートナーでもあります。その中間にいたい。大事なのはユーザーを忘れてしまわないことです。例えば、ユーザーからたくさんのデータをとってEメールの広告を出しても迷惑ですよね。スパムになりますし、バナーだって、無料で使えるからしょうがないよねって思いながらも、露出が多すぎるとうっとうしいわけです。いまのユーザーさんたちに、“ただで使っているのだから諦めてね”ではなくて、ユーザーを忘れずにうまい仕組みを作り、そのニーズに対して適切なメッセージを発信することが我々の方向性です」(長谷川氏)

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